◇ DA +α1


「なまえ、今朝の林檎の事なのだけれど。」

時は夕刻。
武装探偵社の窓に眩しいくらいの西陽が差し込んでいた。

事務処理を終え、帰り仕度をしているなまえに話し掛ける太宰。
他の者は出払っている為、其処には太宰となまえの二人の影だけが伸びていた。

「今朝の林檎…?あぁ、そういえば御礼言ってませんでしたね。
御馳走様でした、美味しかったです。」

なまえはぺこりと控えめなお辞儀をしたが、太宰からは何の反応も返ってこなかった。
不思議に思い顔を上げて、太宰の表情を覗き込んでみるなまえ。
西陽を背負っていた為、はっきりとは表情を読み取れなかった。

「アレね、実は、毒林檎だったんだ。」

「え。」

思い掛けない太宰の告白に固まるなまえ。
数秒固まった後、手を握ったり開いたりを繰り返し、自分の頬を抓ったりしてみる。

「でも、生きてます。」

「あぁ、うん、死に至らしめる類の毒ではなくてね。」

太宰が毒林檎の説明をすると、なまえは怒るでもなく、悲しむでもなく、ましてや恥ずかしがるでもなく言った。

「毒林檎だなんて、シンデレラみたいですね。」

「!」

目を見開く太宰。
動きが一瞬止まる。

「シンデレラか…」

太宰は微笑んでいた。
何処か、懐旧を含んだような穏やかな微笑みだった。

「其の答えは、二人目だ。」


+α2

2018.03.29*ruka


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*confeito*