◆ レイ・チャールズによろしく哀愁 +α2
夕陽も沈みかけ、潮風が冷たくなってきた。
帰って誕生日のお祝いを仕切り直そうという中也の提案で、再び車に乗り込む。
車中では、御機嫌な中也が、私の誕生日の為に用意したらしい上等な洋酒の話をしてくれた。
そこで急に疑問に思っていた事を思い出した。
「そういえば、なんでうずまきに居るって解ったの。」
流暢に話していた中也がパタリと黙り込む。
しまった、今はまだ聞かない方が良かったかな。
少し後悔して中也の横顔を見る。
至極、厭そうな表情だった。
「…手前と喧嘩した後、太宰に文句言いに行ったんだよ。」
驚いた。
私の家を出てた後に、太宰さんの家に乗り込んだと言うのだ。
でも私が太宰さんと会う約束をしたのはお昼頃。口を挟まず、静かに中也の言葉を聞いた。
「そしたら三時過ぎに、太宰から"うずまき"とだけメールが届いたんだよ。」
クソ太宰に借りを作ってしまった、と複雑そうな顔をしていたけれど、今度会ったら私もお礼を言おう、と思った。
その考えが見透かされたのか、中也は私を横目で睨む。
「おい、太宰と話すのは俺が居る時だけにしろ。」
反論しようと思ったが、またくどくどと説教が始まりそうだったのでやめて、素直に返事をした。
のに!
「大体手前は隙だらけでだなァ。」
結局説教された。
「それ、もう聞いた。」
「解ってねーみてぇだから何回も言ってんだよ。黙って聞け。」
これも一種の愛情表現として、大人しく受け入れる他はないらしい。
家に着くまでずっと、中也の愛の説教は続いたのでした。
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2018.08.11*ruka
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*confeito*