◇ Spring's arrival
春麗らかなお昼休み。
私はいつも通り、屋上でお弁当を広げる。
天気も良いし、気温も丁度良く、正しく春。
これぞ、春。
ザ・春。
この気候が長く続けばいいのになぁ。
すぐ夏になって、暑くなってしまうのだろう。
そんなことを考えながら、心地良いそよ風に髪を靡かせた、隣の人を見つめていた。
「あ?なんだよ、また卵焼き欲しいのか。」
「えっ!そんな物欲しそうな顔してた?」
私は唯、そよ風に吹かれるイケメンを眺めていただけだったのだけれど…
中原くんは、最初こそコンビニ弁当持参だったが、最近は不良らしからず、手作り弁当を持参している。
所謂、弁当男子である。
私は女の影を疑ったが、割と本気で怒られたので違うということになっている。
それにしても、卵焼きが絶品で、何度か物々交換をしてもらったり、ただ単に分け与えたりしてもらっていた。
今回も折角なので、頂戴することにした。
「く、ください。」
「仕様がねぇな、ほら。」
笑いながら口に卵焼きを放ってくれる、中原くんに少し照れつつお礼を言った。
「んー!相変わらずいい腕ですな!」
「当たり前だろ。」
そんな感じで、穏やかに二人で笑いながらお弁当を食べ進めた。
するとそこへ、珍客が現れた。
2019.04.29*ruka
◆ 続
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*confeito*