◇ お散歩日和


季節が暑い夏になる前の、かといって、春よりは日差しが強くなってきた曖昧な気候。
特に予定がない休日だったが、家でゴロゴロしているのも勿体ないな。
春服でも買いに行こうか。
そう思って、薄手のカーディガンを羽織って外に出た。



却説、どこを目的地にしようか。
と言っても、服を買うようなお店はだいたい決まっている。
然し、直接いつものお店に向かうのも味気ない気がして、敢えて遠回りの道を選び歩いた。
すると、アスファルトの上を滑る車輪の音と、少年の叫び声が聞こえてきた。

「わ、わわ!わぁ〜!」

その叫び声の直ぐ後に、大きな衝突音が聞こえた。
何事かと思い、声がした方へ駆け寄った。
その声に、聞き覚えがあったからだ。

「いてて…難しいなぁ。」

座り込み腰をさする少年。
声から予想した通り、敦くんが居た。

「大丈夫?敦くん。」

痛そうな姿に心配になり、すぐ横にしゃがみ込んだ。
敦くんの傍らには、スケートボードが逆様になって転がっている。
車輪だけがくるくると、未だ走り足りなさそうに回っていた。


2019.05.25*ruka




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*confeito*