◆ 恰好良いって言われたい


「えっ!なまえさん、どうしてここに!?いてて…」

敦くんは、恐らく強打したのであろう腰の痛みを一瞬忘れ、私に驚いて仰け反り、更なる痛みに思わず蹲った。
背をさすると苦笑いが返ってきた。

「恥ずかしいなぁ、こんな格好悪いとこ、なまえさんに見られちゃうなんて…」

敦くんも私と同じで、暇を持て余した休日だったらしい。
天気も良かったことから、スケートボードに挑戦していたとのことだった。

「走ったりは得意なんですけど、道具を使うのは難しいですね。」

「私もやったことないけど、軽々ジャンプしたりしてる人とか見ると格好良いなぁって思うよね。」

何気なく発した一言だったのだけれど、敦くんは非常に感情豊かに驚きの顔を見せた後、何やら悩み、唸りながら頭を抱え込んだ。
かと思ったら、決心したように拳を握った。

「僕、頑張ります!」

「え?あ、はい、頑張って。」

もう腰の痛みは引いたみたいだった。


2019.06.03*ruka



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*confeito*