◆ はじめの挨拶 1


ある日の放課後、とあるカラオケボックスの一室。そこに私は居る。
帰り支度の最中、クラスの女生徒に声をかけられ半強制的に連れてこられてしまった。
断りきれなかった私にも非はあると思うが、誰がこの状況を予想できただろうか。
カラオケボックスなのに、歌も唄わずに向き合い着座する制服姿の男女。
所謂、合コンというやつだ。
私はその人数合わせで連れてこられたのだ。
それは聞かされていた。でもおかしいのだ。
何がって、先ず人数がおかしい。
聞いていたのは三対三の筈だったのに向こうは四人いる。
そして次におかしいのは、面子だ。

「じゃあ、みんな揃ったところで、自己紹介から始めよっか!私から行くね〜!」

ハイテンションで場を仕切る、同じクラスのアヤちゃん。
慣れているのか、笑いを交えて自己紹介を済ます。
次に隣に座るフミちゃんへマイクのバトンが渡る。
この距離、この人数でマイクは絶対に必要ない。
自分の順番が近づいて冷や汗が止まらない。
マイクに心臓の音を拾われてしまうのではないかとハラハラして仕方なかった。


2020.01.13*ruka



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*confeito*