◇ はじめの挨拶 2


「はい、次はなまえちゃん♪」

きてしまった…
全員の視線が私へ向けられる。
女子と、奥に座る男子二人はまだいい。
問題は私の目の前に座る二人だ。
一人は初めから殺されそうな鋭い目つきで睨みつけていて、もう一人は笑顔。只管、笑顔。
それが一番怖い。
ニコニコとしているけれど、私から視線を外してくれない。
いくら笑顔でも、その視線からは殺意を消せていなかった。
私、死ぬのかな。

「えと、なまえです。よ、よろしくお願いします…」

真面に顔が上げられなかった。
早々にマイクを置くと、奥に座る男子がもう一本のマイクで自己紹介を始めた。
申し訳ないが、奥二人の男子の自己紹介は微塵も入ってこなかった。
名前すら覚えられなかったのは最低だと思うが、そんなことどうでもいいくらいに、生命の危機を感じていた。
三人目の男子へマイクが渡る。
マイクを受け取ると低い声で一言。

「…中原中也。」

そして、その手から最後の一人がマイクを奪い、自己紹介をする。

「はぁーい!治でっす☆武装生徒会で書記長やってまぁす!
一緒に心中してくれる美女大募集中〜♪」

私の目の前に座っているのは、自己紹介なんて必要ない中也くんと太宰だった。
太宰は中也くんと真逆のハイテンションで自己紹介をしマイクを置く。
その後、低い声で呟いた一言で背筋が凍った。

「宜しくね…なまえちゃん。」

嗚呼、矢っ張り私今日ここで死ぬんだ。


2020.01.14*ruka



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*confeito*