◇ 三界の火宅


今日は保健委員のお仕事で、お昼休みに保健室で絆創膏等の補充をしていた。
すると、顔色の悪い生徒が咳をしながら扉を開ける。
それが誰なのか直ぐに解り、手にしていた絆創膏を置くと、その生徒に駆け寄り背を摩る。

「大丈夫、芥川くん。」

「なまえさん、少し横になります。」

私は頷くと寝台まで寄り添い誘導した。
寝台に横たわる芥川くんが心配で、少し隣で様子を窺う。
落ち着いてくると、穏やかな呼吸を繰り返し、後に芥川くんは浅い眠りへと落ちていった。
額にかかる髪を少し分け触れてみる。熱はないようだ。
そのまま何度か頭を撫でると、芥川くんは薄っすらと瞼を持ち上げ、私を確認してから再び眠りに就いた。
白い顔を見つめると、その横の先端だけ白い毛束が視界に映る。
芥川君は眠っている。
再び毛束を見る。
少しくらいなら、良いだろうか。

私は疼く己の欲求を抑えきれなかった。


2019.04.12*ruka



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*confeito*