cottage


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 地図を片手に再び森の奥へ進むと「キャットミント寮」と書かれた看板が見えてきた。
 辺りを見回すと新入生らしき生徒と上級生が複数人いた。
「やっと着いた〜」
 学園に着いてからおよそ20分ほど森の中を彷徨い、ようやく寮に辿り着くことができた。
 まさか初日から迷子になるなんて思いもしなかったが、これも学園からのミッションだと思うと達成感のようなものを得た気がする。

 受付へ向かうと上級生らしき人が「ミッション達成だね!おめでとう」なんて言うものだから、やはりこれは学園からのミッションだったようだ。
ますますこの学園での生活が楽しみになってきた。

 
 受付係の上級生に部屋番号の書かれた鍵と寮の案内書を手渡された。
 案内書には寮の地図と規則などが細かく書かれていた。
「今いるここがロビーで……オレの部屋は……」
 鍵の番号を確認すると305号室と書かれていた。鍵には黄緑色のモーテルキーがついていてこの寮の名前でもある「キャットミント」が描かれていた。
 寮は2人1部屋で同室となる生徒がいるらしい。一体どんな子だろうか?
 仲良くなれたらいいなあ……と期待を胸に部屋へ向かった。










 
「着いた!ここが今日からオレの部屋か〜!」
 深い茶色のドアには305号室と刻まれていた。
 その横には白いネームプレートがあり「エディー・ミシェル」と「ライラ・ノースロップ」と書かれていた。
「この子が同室かな……何だろうちょっと緊張してきたな……」
 普段は人前に出ても全く緊張しないタイプではあるが、今日初めて会う人とこれから三年間同じ部屋で過ごすことになる……と考えるとさすがに上手くやっていけるだろうか?といった不安と緊張がこみ上げてきた。

「ううん!こんなところで考えてても仕方ない!こういう時は勢いが大事なんだよね!よーし!」
 手に持っていた鍵と案内書を握りしめ一度深呼吸をする。
 そして勢いよくドアを開けた。

「失礼しまーす!!!!!!」
「うわあああ!?!!!?」

 すると突然叫び声が聞こえた。視線を下に移動させると驚いた顔でこちらを見上げる少年がいた。
 ラベンダー色の髪が揺れエメラルド色の瞳は大きく開かれていてあたりには本が数冊落ちていた。
 
「ノックもなしにいきなり入ってくるなよ!?び、びっくりするだろ!?」
「え?あ!ごめん!気合い入れてたらノックするの忘れちゃった……」
 どうやらオレがノックもなしに勢いよくドアを開けたことで驚いて叫んでしまったらしい。悪いことをしてしまったな……。
 
「ま、まあいいよ……次からは気をつけてよ」
 少年はそういうと床に落ちた本を拾い机の上に置くと再びこちらを見た。
「俺はライラ・ノースロップ。アンタが同室のえーと……」
「エディー・ミシェル!よろしく!」
 そう言って手を差し出すと「うん、よろしく」と言って握り返してきた。
 
「そうだ。この後、寮の説明会があるから急いだ方がいいよ。ハウスマスターとこの寮の寮長兼監督生もくるみたいだから絶対遅刻できないし。」
「あー!説明会があるって話は聞いてたけどさ、そのハウスマスターと監督生がよくわからないんだよね〜そんなに偉い人なの?」
「え!?アンタそんなことも知らないの?!入寮の時資料に色々書いてあったでしょ?」
 ライラは再びエメラルド色の瞳を大きく開き「信じらんない……」とつぶやいた。
 そういえばこの学園の寮にはハウスマスターと呼ばれる先生と寮長だとか監督生だとか呼ばれる生徒がいるらしい……。役職の名前は知ってるが正直詳しくは知らない。

「じゃあ説明会に行く前に色々説明してあげるよ……。」
 と少々呆れつつもライラはオレが分かりやすいように1つ1つ丁寧に話し始めた。
 

 


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