流行っているのか…?

『駅だわ!』

『…ここが椚ヶ丘の街ですよ』


僕がそう返せば『ここで降りましょう!』と言って、タクシーを停めた。
街へ降り立つと、王女は辺りをきょろきょろしながら尋ねた。


『学校帰りにはどんなお店に寄るの?ラーメン食べたりするのかしら?』

『…ラーメンは食べません。ここら辺にもあまり来ません』


よく分からない王女の偏見を否定し『お茶がしたいなら、あそこのお店はどうですか?』と友人がオーナーをしている高級カフェを指した。
レンガの壁と木材を組み合わせたシックな外観、店の中では上品なマダム達がコーヒーを楽しんでいる。
ここなら王女にも失礼にならないだろうと思って勧めたのだが、ちらりと中を見ると素通りしてしまった。
その代わり、少し先にある庶民的な喫茶店を指して『ここ、素敵なお店!入りましょう!』と言った。


『…』


優良も最近、こういう庶民的な店を好むが、流行っているのか…?
外壁をツタに覆われた昔ながらの喫茶店には"喫茶・丘"と書かれている。
お昼を過ぎても、いまだに"モーニングセット500円"と書かれた紙が貼ってあった。

…この値段設定だと、うちの学校の生徒も来てしまいそうだ。
そうなると騒ぎになる。
王女にやめましょうという前に、王女はお店の中へと入ってしまった。


『…』


ほとんど投げやりで、王女の後を追うように僕も店の中へと入った。



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