喜ぶだろうか

『中も素敵ね!』

(素敵…?)


外観から予想はついていたが、どう見ても素敵とは言い難い。
…つぎはぎだらけのネコのぬいぐるみを可愛いと言っていた優良を思い出した。
あんな感覚なのだろうか。
きっと僕には理解できない。
頭を抱えていると、王女はメニューを手にしてのぞき込んだ。


『何が書いてあるのか教えて』

『…』


僕が勧めたお店なら、英語で併記されていたというのに。
面倒に思いながらも、一つ一つメニューを説明していった。


『タワーみたいにクリームが盛り上がっててかわいい!』


僕の注文したコーヒーと王女の注文したバナナパフェが運ばれてきた。
コーヒーを一口飲んだ後、向かいのソファーに座っている王女を眺めた。
嬉しそうにパフェを食べている王女の姿が、優良とかぶる。

…優良もここへ連れて来たら喜ぶだろうか。
優良の好きなアップルパイもあるようだし、王女がこれだけ喜んでいるのなら、きっと優良も…。


『…?ガクシュー?』

『な、んですか…』


パフェが食べたいのかと聞いてきたのをきっぱり否定し『そろそろ戻りましょう』と声をかけた。


『万が一のことが起きたら、責任持てません』

『…子供じゃないんだから、自分の行動は自分で責任持ちます』


なかなか説得に応じてくれない王女に痺れを切らしかけていると「うわ、女心がぜんぜんわかってない」という声が聞こえてきた。
声の方へ振り向けば、そこには見知った顔ぶれが…。


「!!!」


なんで、E組の連中が…!
…確かに、うちの学校の生徒が来るかもしれないとは思っていたが、よりによってE組。


「…一体、何をしてるんだ」


どう考えても僕達の様子を窺っていたとしか思えない状態のE組連中にそう聞けば「…お冷を取りに」「…お手洗いに」と言い訳する中、赤羽が「あそこで勉強してた」と返してきた。
白々しい。

ギロッと睨めば、席に座っていた数人が慌てて鞄からノートやら参考書を取り出している。
外部受験のくせに気楽なものだ。


「中学浪人しても知らないぞ」



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CrystalpalacE