【6】抱きしめたい



春の高校バレー
東京都代表決定戦
準決勝
梟谷学園vs音駒高校


「へいへいへーい」

「うぉー、木兎さんは今日もお元気そうですね!」
「うるせえフクロウだぜ、全く…」
「全国、行きましょうね!」
「…おー、一緒に行くぞ。」


クロくんはかっこいい。
どこがって、ぜんぶ!
幼い時の初恋相手。あの頃からキラキラしてたクロくんは、今はもっともっとキラキラしてる。
バレーが大好きな彼が好きだ。
私はまだまだバレーには勝てないようです。


三位
決定戦
音駒高校vs戸美学園


マネージャーは見ているしかない。
声をかけるしかない。
サポートするしかない。


「なんで双葉ちゃんが泣いてんのさ」
「すみません…夜久さんが一番悔しいのに…」
「朝日奈、氷押えて」
「はい、すみません…っ」


試合中に足を挫いた夜久さんを思うと涙がとまらなかった。
私が泣いていいわけないのに。


「どシャーーーット」
「「!!」」
「コラ動くなっ」
「双葉ちゃん」
「はい」
「黒尾はかっこいいよ。」
「! はい、ずっとかっこいいです!」


長引く戸美学園との試合、みんながどんどん一致団結して行くのがわかった。

"繋ぐ"

みんながひとつに繋がっていく。


「!」
「朝日奈、黒尾の指見てやってくれ。」
「はい!」


少し爪が剥がれて出血してしまったクロくんに駆け寄った。


「クロ先輩!大丈夫ですか!?」
「ああ、ちょっとやっちまっただけだ。大事な時に…」
「…大丈夫です!みんなを信じましょう!」


試合を見守っていると、リエーフくんのブロックの制度が上がっていくのがわかった。
そして…


「あ、繋がった…」


リエーフくんのブロックで相手のボールが芝山くんの腕の中に一直線に向かって行った。
笛の音が響き渡って試合が終わった。
みんなが抱き合って、泣いて喜びあっている。私はそれを見て、また泣きそうになっていた。


「双葉先輩!勝ったよー!」
「わっ、り、リエーフくん!?」
「双葉先輩もバレー部の一員なんだから、一緒に分かち合わないと!」


ハーフだからなのか、リエーフくんはなんの躊躇いもなく私にハグをしてきてちょっと驚いたけど、同じ仲間だと、一緒に勝利を分かち合おうと言う彼の純粋な思いを素直に受け止めようと思えた。


「おい、リエーフ!朝日奈から離れろ!」
「あ、猛虎さんも双葉先輩とハグしたいんですね!」
「は!?なっ、バカ!!ちげーよ!!」
「双葉さん、僕とは勝利の抱擁してくれないのかな?」
「「「え!?」」」
「お前ら、そんな顔でこっち見んなっうおっ!?」
「おめでとう!クロくん!」


自分から言っておきながら本当に抱き着くか!?って慌てるクロくんは、とてもとても背が高かった。


(黒尾、いつまで赤くなってんだよ)
(うっせ)
(双葉ちゃんが本当に抱き着くとは思ってなかったんだよ)
(はぁ?だっせーな)
(やっくん、ここに放り投げていくよ?)

―他の男と抱き合うなよ。

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