4「あ……あぁ〜……思い出した……思い出したくなかった……できればこれが夢であってほしい……」 一言で言うと最悪だ。 ディックは吐き気と頭痛に悩まされながら盛大にため息をつく。酒の間違いでは許されないレベルのことをしでかしていた。 「結婚証明書をどうしたら……離婚? 離婚したほうがいいのか? いや、でも結婚してすぐに離婚っていうのもどうなんだ?」 それを言えば酔った勢いで結婚というのもどうだという話になるが、過去のことはもう仕方が無い。やってしまったものは仕方が無い。 「くそ、とりあえずもう帰らないと。飛行機、飛行機の手配」 フラフラとベッドから立ち上がり、床に落ちた結婚証明書と隣で眠る祐未を見比べた。数秒迷って、書類をそっと拾い上げくるくると丸める。 カジノで勝った金はたしかもう600万ほど残っていたはずだ。結婚証明書を自分の荷物の中にいれたディックは、300万ずつ山分けになるだろう金で後日指輪を買おうと決心した。 勝った分すべてをつかってしまうことになるが仕方が無い。 ここはラスベガス。一攫千金の街。 一夜にして大金の手に入る街。 それと同時に、一夜にして大金が消える街でもあるのだ。 [しおりを挟む] 目次 戻る |