Urdimmu: First Contact

#6:Life picked up 2


「爆発……するはずなんだけど、なんであたし生きてんの?」

 すると蝙蝠がよどみなく答える。

「君の頭部に埋め込まれていたマイクロチップ爆弾なら無効化の後取り除いた」

「あたしそれ取れないって言われたんだけど」

「取り付けたものが取り外せないなんてことがあるものか。切開してもすぐ傷が塞がる再生能力には少々手こずったが」

 蝙蝠が手のひらを祐未の前に差し出す。グローブの上に乗っていたのは破壊されたマイクロチップ爆弾だ。祐未もサンプルを見たことがあるし、それをつかって頭部を破壊された人間も見たことがある。
 おそらく自分の頭に埋まっていたものなのだろう。粉々に破壊されたそれを眺めて、ふいに生きている実感がわいてきた。

「……ありがと。諦めてたから変な感じだ。礼がしたいけど、さっき言った通りあたしはネルガルのことよく知らないんだ。ごめん」

「話すのは知っている限りのことで構わない。それと、今後の君の身の振り方だが」

「ああ、軍でも警察でも連れてってくれていいぜ。ちゃんと働くよ。刑務所でもいいけど。あーでも、せっかく爆弾とれたのに死ねって言われたらちょっとイヤだな」

 小鳥が訝しそうに低い声をだし、少女に顔を近付けた。

「ちょっと? ちょっとイヤなだけなの?」

「だって、言われてもおかしくねぇからさ」

「そんなこと言うならわざわざ取り除いたりするもんか。っていうか君自分が子供だって自覚してる? もし行くとしても孤児院か矯正施設だよ。刑務所じゃない。ましてや軍隊なんてなんで出てくるのさ」

「え、そうなの? 軍のほうが仕事あるかなーって思ったんだけど」

「え?」

「え?」

 どうやらロビンと祐未の間で重大な食い違いがあるらしい。しばらく口論を傍観していた蝙蝠が、重いため息とともに再度口を開いた。

「……君はもう生きるために戦う必要も人を殺す必要もない。それと、孤児院や矯正施設に預けても施設ごと悪党に狙われるか、君が金で売り払われるだけだ。正式に手続きをして、私が君を養子に迎える」

 祐未は一度瞬きをして、大きく目を見開いたまま硬直した。

「仕事しなくてもいいってことか?」

「君くらいの年齢の子供は、学校に通って勉強するのが普通だ」

「じゃあメシとかどうすんの? 寝るとことかは?」

「……後で詳しく話すが、全て私が用意する。君は心配しなくていい」

「それじゃあアンタになんの得もなくね?」

「損得の問題ではない」

 拘束着のまま不思議そうに首を傾げた彼女は、やがてゆっくり時間をかけてバットマンの言葉を理解し――無邪気な笑顔を浮かべて、蝙蝠男を見上げる。

「あ、あのさ、じゃあさ! あたしアンタらの手伝いするよ! 戦えるし、ジャマにはならねぇぜ! 役にたつよ!」

 彼女は今まで生体兵器だった。人を殺せば生命維持に必要な最低限のものが与えられる。逆らえば頭部の爆弾で殺される。
 生きるために仕事を貰うというのはごく自然な発想だった。
 ロビンがバットマンに視線を移す。

「バットマン、どうする?」

 蝙蝠男が静かに一度頷いた。

「いいだろう。ただし、人を殺さないよう、訓練をしてからだ」
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