打ち上げられた魚のように、ビクビクと反応する様は、捕らえられた人魚が人の手から逃げ出そうとしている姿を思い出させる。

チリチリと肌を刺す音と、女の叫び声がこだまする。

「痛い!痛い!痛い!」

泣き顔が、犯されている最中のようで劣情が沸き起こる。
これからしばらくはこの顔を見れないのが残念でしかたない。

それは昼の気だるい暑さの中で、やっと起き出した三日目の午後に、ふと思い至ったのが始まりだった。
なぞるとすぐに反応する敏感な内太ももの白い肌を、トントン、と叩く。

「俺のものだとキチンとマーキングしておかなきゃなンないだろ?」

千代里はホッと安堵の顔をした。
なぜか、その顔を見て、こちらも安堵したことが憎たらしかったが、まあ気分は悪くない。

「いたい…ッ!」
「煩えな、少しは我慢しろ」

身体を動かないように押さえつける腕へ、女が巻きつくように爪を立てる。
傷一つつけられない非力な力。

「もうすぐ終わる」

はー、はー、と事後のように身体が弛緩する。
脂汗の滲んだ額にキスをする。

綺麗に印をつけてやらなければ。
永遠に主張するマークを。

血が滲む内股のキワを舐める。
彫師がやめてくださいよ、と困ったように笑う。

「珍しいですね、すぐには見えないところに彫らせるなんて」

そういえば。
あまり考えていなかったが。

「千代里。腕にも彫るか?」
「むり…!」

冗談だ、と右の彫られていない太ももにキスマークを付ける。

普通は萎えるだろ?
こんなところに印があったら。

少女に聞こえないように彫師へ囁く。
処置を終えた彼女を抱き上げ、軽い足取りで男はパークへと帰って行った。