夢を、見ているのだろうか。
海底でゆらゆらと私が揺れている。

遠く、耳鳴りがする。
頭が痛いーー





センパイ!センパイ!
血を流して肩を貸されながら、足を引きずる上司の元に駆けつける。

新たな征服は、至って順調だった。
だか、戦力の分散と維持力の拡大は、同時に強権的な支配の足元を揺らがせることにもなるのだ。
心配はしてなかった。しかし、やはり不安は的中した。

手薄になったパークに、いつの間に武装を蓄えたのか、怒涛の勢いで村民たちが押し寄せる。

硝煙の臭い。
魚人たちは、人間よりも遥かに丈夫で、強い。

けれども、突然の奇襲と、指揮官の不在に、騒然となる。

「火をつけろ!」

松明と火炎瓶が飛び交う。
門が燃え始める。

ゆっくりと、炎が揺らめく中で、門が開いていく。

「千代里、逃げろ。俺たちは何とかなるが、お前は死んじまう」

炎の奥に、人影が現れる。
躊躇うヒマはない。

今、出来ることをーー

「あたし、アー口ンさんに伝えます」

即座に駆け出す。
どうかどうか間に合いますように。

魚人のみんなは強いけど、未だに胸騒ぎが止まらない。

建物の奥、アー口ンの部屋に走り込む。
荒っぽく居眠りするでんでん虫を叩き起こして、

「アー口ンさんに繋いで!!」

叫んだ。





海賊、海兵を蹴散らし、勝利は目前だと思われた。
もうすぐ、というところで。

「反乱です…!」

あまりに屈辱的な、その報告に血管の切れる音がした。

不幸中の幸い、補給のため帰途に着いていたのが運がよかった。
数時間もしないうちに、帝国へと戻ることができる距離だった。