夢を、見ているのだろうか。
海底でゆらゆらと私が揺れている。

遠く、耳鳴りがする。
頭が痛いーー


*


センパイ!センパイ!
血を流して肩を貸されながら、足を引きずる上司の元に駆けつける。

新たな征服は、至って順調だった。
だか、戦力の分散と維持力の拡大は、同時に強権的な支配の足元を揺らがせることにもなるのだ。
心配はしてなかった。しかし、やはり不安は的中した。

手薄になったパークに、いつの間に武装を蓄えたのか、怒涛の勢いで村民たちが押し寄せる。

硝煙の臭い。
魚人たちは、人間よりも遥かに丈夫で、強い。

けれども、突然の奇襲と、指揮官の不在に、騒然となる。

「火をつけろ!」

松明と火炎瓶が飛び交う。
門が燃え始める。

ゆっくりと、炎が揺らめく中で、門が開いていく。

「千代里、逃げろ。俺たちは何とかなるが、お前は死んじまう」

炎の奥に、人影が現れる。
躊躇うヒマはない。

今、出来ることをーー

「あたし、アー口ンさんに伝えます」

即座に駆け出す。
どうかどうか間に合いますように。

魚人のみんなは強いけど、未だに胸騒ぎが止まらない。

建物の奥、アー口ンの部屋に走り込む。
荒っぽく居眠りするでんでん虫を叩き起こして、

「アー口ンさんに繋いで!!」

叫んだ。


*


海賊、海兵を蹴散らし、勝利は目前だと思われた。
もうすぐ、というところで。

「反乱です…!」

あまりに屈辱的な、その報告に血管の切れる音がした。

不幸中の幸い、補給のため帰途に着いていたのが運がよかった。
数時間もしないうちに、帝国へと戻ることができる距離だった。


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