相変わらず、部屋が変わったのに、どちらかがどちらかの部屋に入り浸ることが多い。
だが、部屋が違うのは、それはそれで違った楽しみ方があるのである。





自分だけしか持たない合鍵。
手の中で小さく輝く。
夜這いに向かった部屋で、なぜ、夜行くことを察知できるのか、千代里はだいたい、強制的に送りつけた下着を着けて待ってくれている。
少し透けた素材や、下着をつける意味自体がないようなものや、ガーターベルトにボンテージまで。
イヤイヤながら、そこは従順に自分のことを考えながら答えを選ぶ彼女は、頭から食べてしまいたいほど、可愛くて仕方がない。

扉を開ける。
華やかなレースのテディに包まれた身体。
女の姿勢を正すものとは違い、ラッピングするように繊細なレースが美しく彼女の身体を装飾する。
透けた素材は、千代里には恥ずかしいらしく、腕を胸に当てながら、ぴったりと足を閉じてベッドに腰掛けて、上目がちにこちらを見る。
胸がつぶれて谷間が深くなる。視覚にとても扇情的で、はやる鼓動を抑えて近づく。

言葉もなく、ゆっくりと腕を開かせる。
力を入れ過ぎないように、拘束して、その胸にしゃぶりつく。

「…ッ」

チロチロと、下着の上から胸の蕾をアメを舐めるように転がすと、期待に硬くなっていたものが、ぴくりと震える。

「ぁ、」

ちゅ、とキスをして、もう片方の胸も舐め、揉みしだく。
けして小さい方では決してないのに、すっぽりと手の中に収まってしまう。

「…今日は趣向を変えるか」

腕を離して、とろんと甘えた顔をする、千代里。
凶悪な顔で笑う男は、舌舐めずりをして、彼女の目を布で覆う。

荒い呼吸と、不安げな口元。
その唇に指をあてて、人差し指を舐めさせる。

口内をなぞりながら、充分に濡らしたところで、下着を脱がせて、膣にゆっくり挿入する。

千代里が、大きく身体を震わせて、ため息と喘ぎを漏らす。

「…っアーロンさん、たばこ、変えた?」

視覚を奪われて、真っ暗になった世界で、匂いと、触感が、鮮やかに立ち現れる。
全身が刺激の受容体になり、アーロンを全霊で感じようと身体が目覚めたかのような。

「土産でな」
「…ん、甘い、かおり。すき」

バニラのような匂いが鼻腔をくすぐる。
海の匂いと、男の指が身体の奥で蠢く感覚。

「ひゃ!?」

突然、羽で擦られたような感触が、脇腹をくすぐる。
さわさわと、全身をなぞられる。

「くすぐったい」

身体を捻って逃げようとすると、くい、と膣内の指を曲げられる。
それが許されないことを、男の攻めで自覚するが、無意識に身体が反応しては逃げてしまう。

胸の脇、首筋、脇の下、二の腕の裏。
身体をよじった瞬間に、背中を一筋、くすぐられる。
耳を舐める舌の熱さに身体が驚く。

小さな、確実な快楽に、身体が熱を上げていく。

「色々ともらったんだ。お前の抱き方に難癖をつけられてな。もう少し、気持ち良くさせてやれだとよ」
「…ン、…そん、な、」

耳元で息をかけるように囁かれて、涙が出るほど、ぞくぞくと痺れる。
こういう声のかけ方、されたことない。ちょっと新鮮。

低い声が、耳の奥から頭を揺さぶって、心臓を抱くみたい。

きゅうん、と男の指が、膣の奥で締め付けられる。


「へえ、お前、耳が弱かったのか?」


ひゃ!と悲鳴。
かぷ、とアマガミされて、今までにないくすぐったさを超えた痺れが、子宮の奥をうごめかせる。

耳の形をなぞるように舐められたかと思うと、音で犯すかのように、穴の奥まで抜き差しされたり。

じれったい。
すごく、じれったい。

くちゅ、くちゅ、と水音がするのに、いつもよりも数倍遅いペースでかき混ぜられ、身体が沸騰しないくらいで、止められているようで。

はやく欲しいだなんて普段は思わないのに。
千代里は男の身体を舐めるように撫ぜて、向き合って首に腕を絡める。
抱きつくように太ももを男に擦り付ける。

はやく、ちょうだい。
もう我慢できない。


「強請ってみろよ」


指が抜ける。
入り口を熱いカタマリが行ったり来たり撫ぜてくる。


「…いれて、ください」

腰が動く。男を追いかける。

「何を」
「その」
「どれだよ」
「アーロンさんの、」

逃げる男。とろりと、愛液が溢れる。
耳から首筋に、舌が這う。
頭を、心を、犯される。

「いじわる」
「…そんなに虐められたいか」


予想に反して愉快に笑う声。
なんだか不吉な予感がする。


「もらったものにはな、一滴飲めば、狂ったように嫌いなオトコでも求める媚薬なんてものも、あったんだが」


ぐい、と舌を引っ張り出される。


「お前に試したら、どうなるか」


ぽたん、と一雫。
甘い甘いシロップのような痺れるお酒のような味。


「我慢比べといこうじゃないか」