相変わらず、部屋が変わったのに、どちらかがどちらかの部屋に入り浸ることが多い。
だが、部屋が違うのは、それはそれで違った楽しみ方があるのである。
*
自分だけしか持たない合鍵。
手の中で小さく輝く。
夜這いに向かった部屋で、なぜ、夜行くことを察知できるのか、千代里はだいたい、強制的に送りつけた下着を着けて待ってくれている。
少し透けた素材や、下着をつける意味自体がないようなものや、ガーターベルトにボンテージまで。
イヤイヤながら、そこは従順に自分のことを考えながら答えを選ぶ彼女は、頭から食べてしまいたいほど、可愛くて仕方がない。
扉を開ける。
華やかなレースのテディに包まれた身体。
女の姿勢を正すものとは違い、ラッピングするように繊細なレースが美しく彼女の身体を装飾する。
透けた素材は、千代里には恥ずかしいらしく、腕を胸に当てながら、ぴったりと足を閉じてベッドに腰掛けて、上目がちにこちらを見る。
胸がつぶれて谷間が深くなる。視覚にとても扇情的で、はやる鼓動を抑えて近づく。
言葉もなく、ゆっくりと腕を開かせる。
力を入れ過ぎないように、拘束して、その胸にしゃぶりつく。
「…ッ」
チロチロと、下着の上から胸の蕾をアメを舐めるように転がすと、期待に硬くなっていたものが、ぴくりと震える。
「ぁ、」
ちゅ、とキスをして、もう片方の胸も舐め、揉みしだく。
けして小さい方では決してないのに、すっぽりと手の中に収まってしまう。
「…今日は趣向を変えるか」
腕を離して、とろんと甘えた顔をする、千代里。
凶悪な顔で笑う男は、舌舐めずりをして、彼女の目を布で覆う。
荒い呼吸と、不安げな口元。
その唇に指をあてて、人差し指を舐めさせる。
口内をなぞりながら、充分に濡らしたところで、下着を脱がせて、膣にゆっくり挿入する。
千代里が、大きく身体を震わせて、ため息と喘ぎを漏らす。
「…っアーロンさん、たばこ、変えた?」
視覚を奪われて、真っ暗になった世界で、匂いと、触感が、鮮やかに立ち現れる。
全身が刺激の受容体になり、アーロンを全霊で感じようと身体が目覚めたかのような。
「土産でな」
「…ん、甘い、かおり。すき」
バニラのような匂いが鼻腔をくすぐる。
海の匂いと、男の指が身体の奥で蠢く感覚。
「ひゃ!?」
突然、羽で擦られたような感触が、脇腹をくすぐる。
さわさわと、全身をなぞられる。
「くすぐったい」
身体を捻って逃げようとすると、くい、と膣内の指を曲げられる。
それが許されないことを、男の攻めで自覚するが、無意識に身体が反応しては逃げてしまう。
胸の脇、首筋、脇の下、二の腕の裏。
身体をよじった瞬間に、背中を一筋、くすぐられる。
耳を舐める舌の熱さに身体が驚く。
小さな、確実な快楽に、身体が熱を上げていく。
「色々ともらったんだ。お前の抱き方に難癖をつけられてな。もう少し、気持ち良くさせてやれだとよ」
「…ン、…そん、な、」
耳元で息をかけるように囁かれて、涙が出るほど、ぞくぞくと痺れる。
こういう声のかけ方、されたことない。ちょっと新鮮。
低い声が、耳の奥から頭を揺さぶって、心臓を抱くみたい。
きゅうん、と男の指が、膣の奥で締め付けられる。
「へえ、お前、耳が弱かったのか?」
ひゃ!と悲鳴。
かぷ、とアマガミされて、今までにないくすぐったさを超えた痺れが、子宮の奥をうごめかせる。
耳の形をなぞるように舐められたかと思うと、音で犯すかのように、穴の奥まで抜き差しされたり。
じれったい。
すごく、じれったい。
くちゅ、くちゅ、と水音がするのに、いつもよりも数倍遅いペースでかき混ぜられ、身体が沸騰しないくらいで、止められているようで。
はやく欲しいだなんて普段は思わないのに。
千代里は男の身体を舐めるように撫ぜて、向き合って首に腕を絡める。
抱きつくように太ももを男に擦り付ける。
はやく、ちょうだい。
もう我慢できない。
「強請ってみろよ」
指が抜ける。
入り口を熱いカタマリが行ったり来たり撫ぜてくる。
「…いれて、ください」
腰が動く。男を追いかける。
「何を」
「その」
「どれだよ」
「アーロンさんの、」
逃げる男。とろりと、愛液が溢れる。
耳から首筋に、舌が這う。
頭を、心を、犯される。
「いじわる」
「…そんなに虐められたいか」
予想に反して愉快に笑う声。
なんだか不吉な予感がする。
「もらったものにはな、一滴飲めば、狂ったように嫌いなオトコでも求める媚薬なんてものも、あったんだが」
ぐい、と舌を引っ張り出される。
「お前に試したら、どうなるか」
ぽたん、と一雫。
甘い甘いシロップのような痺れるお酒のような味。
「我慢比べといこうじゃないか」
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