降りかかるため息。
祈るしかない。なぜこんなにも、一生懸命なんだろうと、我ながら不思議に思いつつ。

「お前、誰もが幸せでないと、満足しねぇタチだろ」

どきりと、男の冷たい腕を掴みながら、心臓の柔らかい部分に刃物を突き立てられたような感覚が走る。

「悲しいのは、つらいじゃない」

涙がまた薄っすらと浮かぶ。
ピンと張ったロープの上を渡るような緊張感。やはり、自分では不十分なんだろうかーー

「でも」

ドンドンドン、と頭の上から足音がして、身を潜める。
咄嗟に、男がアニタを抱きすくめ、そのことに、言い様のない喜びを、感じる。

「今なら、死んでもいい」
「馬鹿を言うな」

ひそひそと呟くと、ア一ロンは呆れたように笑う。また、心臓がぎゅうっと掴まれる。

「行ったな」

すっと腕を緩める。
そこから躍り出て、アニタは扉へ走る。

「おい!」

ア一ロンが静止のために声を上げるが、それを無視して、アニタは入り口のカギを内側から閉めてしまった。

「お前、この野郎…」

ついでに戻って、膝をつき、彼の腕も足枷も自由にする。それでもなお、そこから動かない男の頬を、そっと触れる。

「誰でもじゃ、ない。こんなこと」

もう、どうにでもすればいい。どこにでも行けばいい。私はどうなってもいい。そう思って強く見詰めても、彼はダメだ、と首を振った。

「気の迷いだ。俺にこんな善人ぶらせやがって」
「私じゃ、ダメなんですか」

いや、むしろ、ダメじゃないから…
そう言いかけてやはり自制する。

「だったら、気の迷いじゃねェって証明してみろ」

アニタが乱れた制服のまま、跪いて男を見上げたま、首をかしげる。

「俺がブチ込まれる監獄の、看守になれよ」

服のすき間に手を滑らせて、柔くて白い肩を撫でる。
どうせ、長い年月が経つうちに、人間の年頃の男を見つけて、きっとクソみたいな家庭をもち、こいつは愛のために死ぬ人間になる。

「たかが雑用のお前が、今の身分を捨てたって大したことはねェ、だろ?」

少しだけ悩ましげに唇を噛んだ様に、萎えていたものが力を取り戻し出す。
ああ、どうせこいつは、誰かのものになるんだし。

「そこまで好きだと言うならせいぜい出世して、そのときに、地位も名誉もくだらねェ愛のために捨ててみろ」

ゆるゆると制服を脱がせ、強張る顔にキスをする。我ながらよく思いついた、と空虚な笑いが込み上げる。

「…そしたら、駆け落ちでもしてくれるんですか」
「ああ、ああ。俺に取っちゃあ脱獄するだけだかな」

まだ未発達の体躯を、隠したい様子で震えながら立ち尽くすアニタの秘部に指を這わす。到底、自分が入れるとは思えない。
これは物理的に無理だな、とベッドに寝かせながら苦笑する。

それはそれで、嫌ってもらえるかもしれない、と。
それならそれで、存分に嫌ってもらおうじゃないか。

「ぜひともしっかり育って、喜ばせて欲しいもんだ」

まだ膨らみかけた乳房を寄せあげる。かろうじてできた谷間を、ペロリと舐める。

「…っ」

冷凍マグロを思い出す。
まあ、寝技を求めちゃいねぇけど。

「本気に、する、よ?」

生意気に、服を脱がせようとしてくる。
ア一ロンは呆れた笑いを浮かべて、自分で脱ぐから、とその手を押しのけ、そり立つ自身を彼女の目の前に、わざとらしく晒した。

息をのむ音。
処女はめんどくせーなーと、残りの制服を脱がせながら、なるべくぞんざいに、さっさと済ませようと先を急ぐ。

「さすがにな」

痛すぎるのは、可哀想だ。
少しだけ濡れている秘部をなぞって、声を我慢するアニタの太ももを掴んで開かせる。

「あっ」

虚を突かれたとばかりに声を上げた彼女は、恥ずかしさを隠したいのか両手で顔を覆っている。何を今更。加虐心が戻ってくる。

「覚悟があるんだろ?」

手を無理やり剥がすと、泣きそうな顔で頷いてくる。
肩に両足をかけさせ、じっとりと誰にも見せたことのないであろう、手入れもされていないその部分を、視姦する。

「一人でしたことくらい、あるよな」

息がかかって、彼女の身体が反応する。
その経験がないことは分かってる。

くぱぁと開くと、赤々と小さな入り口が震えるのが見える。
焦ったく指を行き来させる。

「ごめんなさ…っ、した、こと、なっ!」

粒を掴む。思いの外、感度の良いそこを、剥き出して、くにくにと形を丁寧に確かめるように、執拗に執拗に虐め抜く。

「はあっ、あ、ぁ、あつい、や、やだぁ、あ、へんになるっ」

ん?と、しらばっくれて、彼女の穴に舌を突っ込む。

「そ、そんな、ところっ」

イマイチ、ナカはまだ感じないらしいが、粒の方で十分な膣は粘度だ。
身をよじって快楽から逃げる姿が、劣情に少しずつ火をつける。

「あ、あ、…っく、んん」

息を殺して、粒をなぞりあげられるたび、押し寄せる快楽を受け止めようとする。
痛くないように、優しく、柄にもなく丁寧にソコこねくり回す。
まだイキ方も分からないだろう。せいぜい苦しむといい。

「ん、っ…もおむり、あ、あーっ!あ、止めて、おね、が、いっ、だめ、あ、あ、!」

ぐちゃぐちゃ、彼女の下の小さな口から、乱れた液が零れだす。
びくびくと跳ねる身体。軽く達したのか。

「…そんなに俺が好きか」
「今更、そんな、ンッ」

身体を下ろして、自身の先をあてがう。
やはり、突き刺すしか、入る余地がない。

「痛いぞ」

最終確認を促す。まあ、肯定しようが拒絶しようが、やることは変わらん。

「…っはい」

手を繋いでやる。せめて、苦痛のはけ口を。

ズン!
一気に突き上げる。だが、半分にも満たない。声なく、アニタは痛みに耐えている。それを見てまた容赦無く、突き進む。

「く…ッ」

血が流れ出る。
潤滑油にすらならない。

胡座をかいて、無理やり座らせる。
悲鳴を堪えているのがわかる。

激痛で、脂汗が出ている。

「はぁ…は、っ痛」

少し身じろぐだけで、痛いらしい。
その背中を抱きしめて、結合部をなぞる。

「お望みどおりに、全部、入れたぞ」

耳元で囁く。
きゅう、と彼女が締め付けるのが、たまらなく切ないほど。

「おっきい…」

はあ、と汗が伝い落ちる。
それが何とも扇情的で、少し萎えていたのが、強く脈打つ。

「い、たい!」
「馬鹿。お前が悪い」

堪えられずに、彼女を突き上げる。
痛いだけだろうが、出来れば最後までしたい。したくなった。

「すぐ、終わらせるから、我慢してろ」

ぼろぼろ泣くアニタの涙を舐める。
首に手を回して、異物を押し出そうとするかのようにうまく入らないその中に、自身を何度もねじ込ませる。

せめてと、アニタを抱きしめる。
血がドロドロと流れていく。

その一瞬は、永遠のようで。

「…っは」

ぐじゅり、と泡立つ繋がった部分を、嫌というほどに、くっつける。
名残惜しげに、ドクドクと溜まっていた白濁が、未成熟な腹のなかに注がれていく。

引き抜くと、ピンク色の液が溢れ出した。

死にそうな顔でアニタが微笑む。自分のシャツを破って、秘部を拭き取る。想定より多くの血が、とめどなく流れ出してくる。

「もう、二度とやりたくねぇだろ?」
「…他の人とは、したくないかな」

可愛いことを言う。
そのまま気を失ったアニタを、男は目がさめるまで抱き締め続けた。

いつか誰かのものになっても。
忘れられない男になるとは、なかなかに強欲な呪いをかけたものだ。