何度来ても不思議だ
漆は買い物カゴに野菜を入れながら思う。
大殿の城よりは小さいのに、色んな物が置いてあり、誰でも手に届くのだ。
戦国の世ではこうはありえないだろう。
安売りの卵のパックをとろうとした時、調度手が重なった

「すみません」
「いえ、こちらこそごめんなさい!」

同い年くらいの女性であった
漆は最期の卵のパックを取り女性に差し出した

「どうぞ」





「私が貰っちゃって本当に良かったのかしら?」

女性が申し訳なさそうに見てくるが漆は気にしない。

「いえ。予備に買おうと思っただけですのでお気になさらず」

今晩の献立には卵料理を出そうとは思っていなかったためそれほど痛手でもない。
スーパーから二人並んで出ると、まだ早い時間ではあるが空は橙色に染まっている

「家は何処ですか?送ります」
「いいのよそんな!まだ明るいし大丈夫よ!!」
「いいえ、女性のひとり歩きは危険です。最近は少し物騒ですから。」

漆がそう言うと納得したのか、「じゃあお願いしようかしら」と女性は穏やかに笑った