墓場 - deer

お揃い(現パロ)

「お友だちとお揃いなのです」

雨上がりの夜色をした髪を結ぶとき、新しいゴムを出してそう言った。兎の顔がついたそれはいかにも少女が好みそうなデザインだった。

「そうか」

「うふふふん、お揃いは仲良しの証なのですよ!明日から学校にも着けていく約束をしました」

「それは君にとって嬉しいことなのか?」

「とっても嬉しいです」

その顔をさせる友人は私の敵だろう。笑顔が自分のためにだけあればいい。我ながら狭量なことを考えたものだ。

「フェルディナンドもお揃いしますか?」

「私も、君と仲良しなのか?」

「もちろんです!というわけで、何をお揃いにしましょうか?私もフェルディナンド様とお揃いにしたいです」

仲良しだからお揃い。この年齢でお揃いという言葉に心躍らせる日が来るとは思っていなかった。
こうしてもらったものは数えきれない。私に足りないものを沢山持っていて、少しずつ分け与えられていく。
いつか同じ物を持つ人になれるのだろうか。マインの隣が誰よりも相応しい、そんな人間に。

「君の好きなものがいい。次は私の好きな物を贈ろう」


愛しい人とのお揃いが揺れる。ペンケースに付いたそれは、夕方に流れているアニメのキーホルダーだった。

「フェルディナンド君ってあのアニメ観てるのかな…」

静かに広がる噂を他所に、愛する少女とお揃いを増やしていく。ヘアピンにクリアファイル、次々と身の回りの物がアニメグッズに変わっていくフェルディナンドの噂は絶えることがなかった。

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