1話〈君と出会った〉
グッギュギュウルルウゥゥ・・・
腹、へった。どこかに食えるもの・・・
ああ、木がチョコ板に見える
砂が三温糖に見える。
なんだ、水はサイダーかな。
グッギュギュウルルウゥゥ・・・
もうだめ。くたばる・・・オレはここで餓死してしまうのか。
『ねぇキミ、大丈夫?』
・・・グッギュギュウルルウゥゥ
『お腹空いてるの?これ食べなよ』
なんだ、これ・・・見たことない。
白い。柔らかくて うまい。
うまい、うめえ・・・
少年は おにぎり を飲み込むようにあっという間に食べた。
そらから咳き込んだら、勝手に水が出てきて・・・まるでそいつは執事かと思った・・・が執事にしては弱っちそうだった。
『ありがとな、助かったぜ』
『もしよかったら、街に行くけど、一緒にどう?何かおごるわ』
『まじ!?あんた神だな・・・』
少年はそれはもう満面の笑みだった。
少女の正体はノアの方舟のノアなのか、戦争を停めたジャンヌ・ダルクなのか、それとも無償の愛をもったマザー・テレサなのか
なんの来世であっても、やはり女神に変わりはない。
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空が青い。けれど青よりも緑の方が視界を埋める。
二人は終わりなき森のフットパスを歩いていた。
一人は当てもなく彷徨っており、地獄に向かっていると思い込んでいた。
もう一人は目的地へと向かい、片手にはしっかり地図を手にしていた。
『ところでなんであんなところに?』
『っと・・・。家出ってとこかな・・・?』
『なるほどね』
少女の理解は、凄まじく早い手刀よりも早かった。
『クマもひどいね』
『2日ぐらい寝てない。見つかったら面倒だから』
木の枝に擦ったのか、キズだらけの身体を見せながら少年。
命の危険などかえりみないという。
『名前は?』
『キルア。そっちは?』
『セリーン。分かると思うけど君より年上』
『ふーん?』
だからって態度は変えないぞ。キルアは内心そう言った。
性格上は合わないとしても、とにかく歩かなければならい。
黙々と太陽を追いかける。
『ねえ、俺の特技見る?いつもは見物料取ってるけどサービスしてあげるよ』
『特技?なに?』
やんわりと地面を歩くと、左にぶれてゆき、いくつもの残像がくっきりと残っている。やがて尾の方から一つずつ消えていった。
まるで
かーえーるーのー、かーえーるーのー、うーたーがー、うーたーがー・・・
そんな輪唱みたいに。
『す、すごい・・・』
『まあ他にもあるよ・・・ね?』
『音が・・・ない?』
少年が駈け出してみせると、なんの音もたたない。
『っねぇ、他には!?』
『ええー?こっからは大サービスなんだけど・・・』
2人は街にたどり着くまでに、何回も立ち止まった。
『どこで覚えたの?』と聞いたセリーンに『暗殺者の処世術』とキルアはキメ顔をする。ハンターでもなんでもない、一般人のセリーン。当然全く信じてはいなかった。でも、しつこく聞こうとはしない。キルアが『そうしたいのなら』そういうことにしといてあげよう。するとキルアは『そうしたいんじゃなくて、そうなんだけど』と逆に意地を張った。しかし暗殺術とは普通のハンターですら、知るものが少ない領域なのだ。それをまた、キルアという少年は知らなかった。
『やっとついたーー』
街の入り口には直ぐに宿屋があった。そこで食事はとれるが、真昼間から直ぐに寝るわけにはいかなかった。
『どうする?』
『あーー・・・、今寝ると夜までがっつり寝そうだし飯だけ済ませとこうかな』
『ん。じゃあ、アイテムショップいこう』
『なんか悪いな』
血がつながってなくてもここまで面倒を見てくれるんだな。
キルアは初めて人の優しさに触れた気がした。
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