モローのお遊戯会
トクトクトクトク。
2、3回揺すり、数滴が垂れ込むのを待っていた。
しかし、やっぱり周囲に溢れてしまっていた。
だらし無い口元から出た、涎のようだ。
にほん指でトロリとすくい上げて、これは何だろうって問いかける。
「すすって見せてよ」
「イヤ。・・・っ、」
ピト。
濁った液体が唇の分け目をめがけた。
すくったにほん指が、口元を半ば強引に割って入ろうとするのだ。
「僕の名前を呼んで」
今すぐに。
「・・・・・ヒソ・」
「ふふ」
すでに口内に入っている。
にほん指が、内頬をぐいぐいと押す。
それから歯うらでヘリ落とす。
舌の上で、とどまっていたそれを
にゅるりと入り込んだ舌が愉しそうに絡めた。
やがて2つの味蕾の上、二つの混濁液が踊った。
「へんなあじ」
「へんなにおい」
でも嫌いじゃない。
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