窓枠の中のゴシック


彼らは僕のことを清楚で真面目と言う。
前以ていうと、それはまったく違う。
庭の花を愛で、ピアノを弾いているからといって、誠実なわけでも純粋なわけでもない。
勝手なイメージを持って笑いかける彼らに笑い返すとき。
僕は生まれたことを後悔する程つらい。
大嫌いなピーマンを食べるほうがずっとマシなんだ。
その間は、引きつってないかと心配したり、この人たちは何も知らないんだろうな。と考えていた。

みんなは向かいのお家に住む少女を好まない。
刺々しい雰囲気を放ち、黒いワンピースをまとい、どこか暗い。そうした些細なことが、少女を腫れ物にしてしまったのは僕にも理解できた。
人を遠ざける術を学ぶ彼女を、ぼくは二階の窓からいつも見ている。
そして羨望している。
何が冷たい眼にさせているのかな。
その術は何だろう。
例えばゴシック調?例えばロリータ?
確かに彼女が道を行くと、暗鬱が歩き倒しているようだし、周りが言う普通とは違う。
けれど、僕だって普通とは違う。
その点では、僕と彼女は同じで、きっと分かり合えたのかもしれない。
でも、彼女は言った。
あなたと私は違う。と。
僕は引き裂かれたような、嬉しいような感覚だったが、僕だけは知っている。
彼女より僕はずっと「黒い」こと。
君が、脂っこい人たちや事物と違う「良い子」ってことをね。



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