ぼくは


ぼくは、取り返しのつかない事をした。
心臓を借りるつもりだったのに、殺してしまった。
ちょっと眩しいからと、この世から太陽を消してしまった。
重力がくるしくて地球の核を壊してしまった。
残念なことに、この世はあと3分で終わる。

180秒じゃ、隣の国にはいけないな。
たとえ海が凍っても。
例え空を飛べても。
180秒じゃ、なにも出来ないな。
だからボクは天を仰ぐ。
ちょっと時間を忘れてね。
ぼくは過ちを犯したみたい。そう。とんでもない過ち。
タマゴの殻を割ったり
1+1を間違えたり
ボールで人の頭を潰したり
排泄物を食べてしまったり
無力と呼ぶべき過ちだ。
ああ。
何で気づかなかったんだろう。
ぼくときみの背中の裏にはしきりがあって、見えないようになっているのに。
どうしてぼくは。
ぼくの後ろを、キミに見られたと思ったんだろう。
君が、背中を見せたから。
君が悪いんだ。
君を引き立てる色形や景色など君は取るに足りないと言ってるのとおなじ。
バックダンスのないボーカルとおなじなのに。
いったい何してくれたんだ。
だから君の心臓を食べてしまったんだよ。
本心はずっと秘密さ。
ぼくは過ちを犯したんだ。
それはもう。とんでもない過ち。


終わる。


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