平穏な日などないのだと




合宿三日目 昼。

二日目と同じく"個性"を伸ばす訓練を行っていたが、補習組は寝不足からか動きが止まっており相澤に注意を促され、そこからその場に居る皆に声をかける。
その声をBGMに日詠は本を読みながら左手で"個性"を発動させて様々な形に変化させていく。

「ねこねこねこ…それより皆!今日の晩はねぇ…クラス対抗肝試しを決行するよ!しっかり訓練した後はしっかり楽しいことがある!ザ!アメとムチ!」

あくまで冷静に"個性"を操作していた日詠だったが、その一言にビクリと体を震わせて顔を青褪めさせた…変化させていた"個性"が小さな爆発音を出して黒い煙が髑髏を描いて消えていく…明らかに動揺して目が泳いでいる事に気付いたのは相澤だけだった。




時間が過ぎ、夕食が食べ終わり食器も片付け終わった頃。

「腹もふくれた、皿も洗った!お次は…」
「肝を試す時間だー!!」

相当楽しみだったのか盛り上がる芦戸と上鳴は訓練の疲れなど忘れたかのように元気だった…が、その元気っぷりを打ち消すように相澤が続く。

「その前に大変心苦しいが補習連中は…これから俺と補習授業だ」
「ウソだろ」
「すまんな、日中の訓練が思ったより疎かになってたのでこっちを削る」
「うわああ堪忍してくれえ試させてくれえ!!」

相澤の捕縛武器により拘束されずるずると引きずられ施設へ運ばれる様子を心苦しく思いながらも残った皆が見送った。

「はい、というわけで脅かす側…先攻はB組、A組は二人一組で3分置きに出発、ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれを持って帰ること!」
「闇の狂宴…」
「(また言ってる)」
「(賑やかしメンバーが全員いないから空気が神妙になってる)」
「脅かす側は直接接触禁止で"個性"を使った脅かしネタを披露してくるよ」
「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」
「やめてください汚い……」

説明が終わり順番とペア決めのくじ引きをする。
常闇・障子、爆豪・轟、耳郎・葉隠、八百万・青山、麗日・蛙吹、尾白・峰田、飯田・口田…そして緑谷と日詠がペアになり、それぞれが色々な反応を示す。

「(轟くんの視線が痛い…)あ、の!よろしくね怒木さん!」
「あ、うん………あのさ、緑谷くん……燃やしたらごめん」
「燃やす!!?」
「明るければ……おばけ……出ないかなって……」
「発想が危ないよ怒木さん…!!って、え…?もしかして怒木さん…」
「……私も補習組に入りたかった……」

死んだような顔をしながら遠くを見つめて、現実逃避をしている日詠の手には何故か握られている塩(ただし食塩)…それらを見て全てを察した顔になった緑谷。
言わずもがな日詠はホラーが苦手なのだ…出発する前から完全に取り乱している日詠の姿に緑谷は「怒木さんも普通の女の子なんだな」とのん気にも考えていたが、引っ付かれると緑谷もかなり取り乱してしまい、わたわたとしている…それに対して夏だというのに気温が下がっていくのを感じ、おそるおそるという感じに緑谷は轟の方を見ると明らかに不機嫌な顔をして二人を凝視しており思わず緑谷はヒィと声を上げた。

「(轟くんの方がこわい!!なんか威圧感がすごいよ…!!体育祭の時みたいな威圧感が…!!)ちょ、あの!!少し離れてくれると嬉しいかな怒木さん!!」
「私に!!死ねと!!死ねと仰るのですか緑谷くん!!?」
「落ち着いて!!まずは落ち着こう!!?」

少しの間騒いでいたが、最初の常闇・障子のペアが出発し次々と送り出されていき12分程経ち、5組目の蛙吹と麗日がスタート地点から出発した。
しかししばらくすると遠くに黒煙が昇り焦げ臭さが立ち込めてきた……。




「さァ始まりだ…地に堕とせ、敵連合ヴィランれんごう開闢行動隊かいびゃくこうどうたい



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