「またか…」

そう重々しく呟いたのは捜査一課の目暮警部だ。警部は帽子を深くかぶりなおし、大きく溜息を吐く。
俺はキープラインから出てきた目暮警部に駆け寄る。そうすれば、目暮警部は俺に気づく。

「やぁコナン君」
「こんにちは、警部。殺人事件?」
「あぁ…同じ被害のモノが、これでもう六件目だ」

そう言って詳細を聞けば、被害者は全て女性で、どれも遺体に目立った損傷はないらしい。写真を見せてもらったが確かにぱっと見損傷は見当たらない。また近隣に聞き込みをする者の争ったりした声や音を聞いていないという。通報者もすでに息絶えている状態を発見しているようだ。
どの遺体も解剖すれば、中身…特に子宮の損傷が一番激しいという。子宮が何者かにぐちゃぐちゃにかき混ぜらえたようになっているとのこと。
しかし腹部に刃物の傷や強い衝撃を受けた形跡もなく、陰部からの刺激でもないという。他にも薬の影響かと思えばそうでもないらしい。しかも女性の同士の共通点はないらしい。
奇妙な事件だ…だが人が死んでいる以上黙っておくことはできない。

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「コトリバコ、の仕業だね」
「やはりそうですか」

正十字騎士団日本支部のとある和室の一室で緑茶を飲みながら外の景色を見ていた燈は、報告に来た奥村雪男に応える。奥村自身もその答えにはたどり着いていたようで、確認という意味で話を聞きにきたようだ。
緑茶を飲んでホッと息を吐く彼女の膝の上には小さな白蛇が蜷局を巻いて寝ている。

「コトリバコは女性立ち入り禁止の神社や寺に納めているはず…至急すべての神社、寺に確認をお願いしますよ、奥村くん」
「はっ」
「今回は私は動けない…代わりにイナバ」
[はい]

彼女の影から白い兎のような生き物が姿を現す。彼は赤い瞳で己の主君である燈を見る。そんなイナバの額に優しく手を乗せ毛並に沿って撫でる。

「彼に任務として伝達し、私の代わりにすべてを見てきなさい」
[慈母の仰せのままに]