それは俺にとっては当たり前だったが、他人からするとそれは異常なことだったらしい。
そのことに気づいたのは、おっちゃんと共にある事件現場に遭遇した時だった。

「あの子がいる場所では事件が起こるのね」
「まるで死神のようだ」
「本当だなハハハ!!」

笑いと共に言われた言葉はきっと冗談なのだろうが、今の俺にはその言葉は胸に突き刺さるものだった。
妖怪や幽霊、化け物、神様そんなものは非現実的で科学的に証明できるものではなかった。だが、とある一件以来それらと関わることが増え、夏休みに入っただけで既に三件もそれらの存在を認めなくてはならないモノとなってしまった。特に死者の国なぞいってしまっては…。

ーーーーーーーーーーー

「え?死神?」
「うん」

その後たまたまポアロにいたメロンボールこと志摩廉造にそのことを聞いてみた。一瞬なんのことだと言わんばかりの顔をしていたが、すぐに笑いだしてしまった。

「なんで笑うんだよ…」
「いやー堪忍な」

だいぶ落ち着いては来ているが未だ笑う彼にあきれ顔をする。
志摩廉造…現在黒の組織に潜入している高校生スパイ。高校生だがへらへらした顔、ひょうひょうとした姿からは想像がつかないほど人の懐に入り込むことが上手いうえ、己の本心を笑み隠してしまうらしい。安室さんすら「末恐ろしい」と呟いたぐらいだ。黒の組織とイルミナティに籍を置いているが、本来は正十字騎士団日本支部に本籍を置いている。
正十字騎士団とはいわゆる非現実的なことを相手にする組織だ。科学的にあり得ない事件などは彼らの専門分野になるそうだ。その組織自体は世界各国のトップが把握し、バチカンに本部を置いている。日本では天皇陛下、総理、警察庁の人が主にお世話になっているようだ。
彼らには人には見えないものが見えているため、今回話をしてみたが笑われてしまった。

「だってよ〜…」
「まぁそう思うのは仕方ないな。よし、明日は空いとるか?」
「え…うん」
「なら正十字騎士団本部に来てみればええ。真神さんには俺から話をしておくで」

本来の年齢が近いということもあって、志摩は敬語を外してもらっていいと言ってくれた。
志摩に礼を言えば、食器を拭いていた安室さんが話しに入ってくる。

「もし君に死神が憑いていたら、地獄に行ったときにそのまま連れ去られていると思うけどな」
「…確かに」
「まぁ真神さんは俺達の中でもその道のプロや!!話聞いて安心してくればええ!!」
「そうだな」
「燈は元来が神だからか良く小さなときは神隠しに合っていたよ、一緒にいた俺ともう一人もよく巻き込まれていたなぁ…」
「え、小さい頃からなんかいな!!」
「一番びっくりしたのはねー…」

そんな話をしていれば俺の中にあった不安が消えていっていた。