「杉沢村?」

その名前を出した赤井さんはコーヒー片手に頷く。

「どんな話だったの?」
「確か…」

杉沢村…かつて青森県の山中にあった村の名前だ。
昭和初期一人の村人が突然発狂し村人全員を殺し、己の命を絶つという事件が起きた。誰もいなくなった村は隣村に編入され、廃村となり、地図や県の公式文章から消去された。だがその廃村は悪霊の住処となり、そこを訪れた者は帰ってこれないという。

話を聞いた俺と赤井さんは同じことを思ったようで、二人とも同じ顔をしていた。
これは恐らくだが、きさらぎ駅と似たような現象だろう。
きさらぎ駅自体はあの世と呼ばれる世界へと通じていた。
俺と赤井さん、そして降谷さんはそのきさらぎ駅で散々な目に遭った。もし、あの時燈さんが気づいてなかったら俺達は無事帰ってきてはいなかっただろう…帰ってきてもこの時代には無理だったはずだ。

あの一件から三人…特に移動手段が限られている俺は極力電車に乗らないようにしている。
理由としては夢猿が関係している。夢猿は一度狙った魂はしつこく狙ってくるらしい。
燈さん曰く"少なくともあと二回は接触してくるだろう"とのことだ。
接触してきた時用で短刀を貰っているが、なるべく抜きたくない。



まぁ青森県なんて早々行くわけでもないし、ましてや電車なんて………



「ガハハハ!!運は俺に味方した!!おい、蘭シルバーウィークに行くぞ!!」
「すごいよねコナン君!!青森だよ!!しかもあけがたに乗れるなんて…夢みたい」
「ハ、ハハ…嘘だろ?」
「それが本当なの!!しかも4人!!園子誘おうと思ったけどあの子ハワイに行くらしいし、お母さんも用事あるらしいし…コナンくん、誰か誘ってもいいよ」
「はは…うん、わかった!!ちょっと電話してくる!!」

うっとりと話す蘭に俺は引きつった顔を必死に隠してすぐさま赤井さんに連絡する。
こうなったらフラグを立てた赤井さんを強制連行だ!!!
こうして不運にも青森旅行が決まってしまった。
…何も無ければ普通に楽しい旅行だ!!

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以下電話内容…

「あ、赤井さん今度のシルバーウィーク旅行に行かない?」
『ホー旅行か、どこに行くんだ?』
「、秘密♪」
『…嫌な予感がする、とても行きたい気がするんだが残念だ今回は遠r』
「蘭姉ちゃーん、昴さんが行くって!!」
『ボウヤっ!?』
「いいじゃん!!フラグ立てたの赤井さんなんだから!!ちゃんと回収してよ!!!」
『…おい、まさか』
「あけがたで行く青森の旅」
『Oh…』
「勿論、行 っ て く れ る よ ね!?」
『…Roger』