プライベート・アイ

昨日降谷から聞いていたレストランに彼女も一緒に同行し、本日だけだが従業員にあいさつをする。どの従業員も上に書かれている名前と同じ名前を名乗る。
バタバタとセッティングを進めれば、客たちが入ってき、一気に周りは同窓会となった。
三雲は黒のウィッグを被り、伊達のメガネをつけていた。
ボンゴレで培った接客サービスを駆使し、無駄のない綺麗な動作でドリンクや料理を次々に並べていく。そんな様子をメガネをかけた安室透こと降谷零は関心したように見ていた。他の従業員も客たち…特に男性は彼女の動きに見とれていた。それに眉間に皺を無意識に寄せてしまった降谷。
勿論無意識なので本人もそのことにも気づかない。

三雲は一人の客を見た時にほんの一瞬、動きを止めてしまった。
彼女を視界に常に入れていた降谷は瞬時にそれに気づき、その視線の先を見る。
そこにはかの有名な名探偵である毛利小五郎がいた。
彼の横には小学生ぐらいの男の子と、彼女の娘がおり、それと今回の主役の二人が談笑していた。

「安室君、これ持っていって」
「あ、ハイ」

キッチンから渡されたケーキを彼らのいる席に持っていく。そしてわざとらしくケーキを新郎の方にこぼす。
そんな降谷を視界に入れつつ呆れたように溜息をこぼし、布巾やタオルを持っていく。

ー今回はドジっ子でも演じるのかしら…。

「本当にすみません!!」
「お客様申し訳ありません」
「大丈夫よ」

三雲は新婦…依頼主である初音さんとは初対面だったが、新郎に似ていることに疑問をもつ。
そして頭の上に書かれている寿命を見て眉間に皺を寄せる。
しばらく話していた新婦の方はネイルサロンに行くため会場を後にする。

「三雲、どうした?」
「透、彼女達すごく似てないかしら?」
「え…あぁ、いわれてみれば…」
「鼻筋とか、目とか…性別が同じなら一卵性双生児と思えるぐらいよ…」
「……」
「あと、彼女…寿命が今日までよ…というかあと少しよ」
「!!?…どういうことだ」
「分からないわ…これから事故に遭うのか…。
幸せそうな二人だけど…貴方何か知っているんじゃないの?」

三雲はそう言ったあとお客に呼ばれた為、その場を後にする。
降谷は彼女の言葉に考えるように眉間に皺を寄せ「…まさか」と小さく呟く。
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それからしばらくすれば新婦である伴場は飲みすぎたのか女性たちにちょっかいをかける。そんな伴場に降谷が電話が鳴っていることを伝えれば、途端に微笑む伴場。それを見ながら三雲は疑問が消えない。
本当に幸せなのだろう、だからこそわからない…彼女の寿命が残り少ないことに。
だがもし自分が考えていることが合っているとすれば、それは悲しい現実であり、来世にまた希望をかけるのもありなのではないのかと思う。

その後トイレに行った伴場は降谷にわざとぶつかったり、グラスを割るということが起こった。
バイトの一人である女性が降谷に対して「何してんの!?」と苛立ちを含めた声に酒を造っていた手を止め、騒ぎの中心の人物たちの所に向かおうとするが三雲はそれを止め、己が降谷の傍に近づく。

「い、いきなりこのお客様が殴りかかってこられて…大丈夫ですか?」
「触んなクソ野郎!!」

差し出そうとした手を振りほどく伴場に飽きれつつ、降谷に手を差し伸べる。

「嫉妬ね…大丈夫?」
「えぇ、ありがとうございます…」
「……」

降谷に怪我がないことを確認してから伴場へと視線をやれば、彼は新婦の初音に連絡をしているようだ。
そのあと何やら焦ったような声で名を呼んだ瞬間、外から爆発音が響いた。

あぁ、タイムリミット…外を見た彼女が小さく呟いた声を聞いたのは近くにいた降谷だけだった。