その後

先月いきなりの三雲の爆弾発言により、作戦を作っていた人物たちは夜通し作戦を練ることを強いられた。
それはもちろんコナンも同様で、学生だからと早めに返してくれていたが、ほぼ毎日寝不足な日々が続いていた。

が、それも今日で終わり…今日が作戦当日なんだが…。

「チッ、カスが」
「うぉぉおい”!!歯ごたえねぇな!!!」
「シシシ、こっちは制圧完了だよ」

「こっちも終わったよ」
「きょ、恭さん、この人歯全部無いです…」
「……フイ」

「クフフフ、クフフフフフフフフフフフ」
「…こっちも終わった」
「さすがーせんぱーい」

「うぉぉおお!!!ケガ人治療終わったぞ!!!」
「あらん、これだけなの?」

「じゃぁ、これで終わりかな?」
「…嘘でしょ?」
「嘘だ」
「……」
「あ、えっと現実だよ?」
「まぁ、受け入れがたいと言ったら受け入れがたいわよね…」

こうして俺たちの長い戦いは幕を下ろした。

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俺達と組織の戦いは本当に長かったものだったが、終わりはあっけなかった。
ほとんど各国の警察官の手を煩わせることなく組織は壊滅した。
これもあれもすべてマフィアという裏世界の組織による圧倒的な武力差だ。
世間一般的には警察が行ったとされているが、真実はマフィアによって壊滅させられたということだ。
捕まった幹部たちはそれぞれの機関がバラバラに拘束し、終身刑が決まっている者が大半だそうだ。
幹部たちは全員拘束されたものの、組織にいたコードネームを持たない人たちは各国にいるらしく、まだまだ赤井さんと降谷さんの仕事は多いみたいだ。

俺と灰原に関しては、ボンゴレお抱えの超天才科学者ヴェルデが組織から手に入れたデータを元にアポトキシンの解毒薬を灰原とともに作ることが決定している。この時の灰原…じゃなった宮野はすごい興奮していた。


だが、本当にあっけなかった…。

「本当にね」

俺の言葉は小さく声として漏れて多様で、その言葉に返答があったため後ろを振り向けば、そこにはグレーのスーツを着た降谷さんと、黒のスーツを着た赤井さんがいた。
二人は今まで数年に渡って偽りの自分を作り、組織を追いかけてきた。組織が壊滅した今その必要もなくなった。

「二人ともお疲れ様です」
「あぁ、ボウヤもお疲れさまだ」

赤井さんはそう言って俺に缶コーヒーを渡してくれた。二人の手には同様のものがあるから休憩なのだろう。
あぁ、言い忘れていたがここは警察庁の屋上だ。
三人でコーヒーを飲み一息つけば、赤井さんが小さく「終わったな」と呟く。俺はそれにうなづき返したが、降谷さんは「まだ残党がいる」と呟く。その言葉に今度は赤井さんが「あぁ」と返事を返す。

「そういえば、天野さんは?」
「あいつは公安に復帰することが決定したよ、本人はボンゴレに居たがっていたがな」
「じゃぁもう天野さんじゃないんだね」
「あぁ、今度会ったら聞いてみればいい」

「そういえば降谷君昇進おめでとう」
「あぁ、もう耳に入っていたか」
「え、降谷さん昇進したの?」
「あぁ、今度の春から警視庁警視正にな」
「まじか…」
「その若さで大したものだ」
「俺は前線の方がいいんだかな…まぁ、今回の活躍といい、彼女の婚約もあるからな…」

「毛利小五郎も刑事として復帰するらしいな」
「うん、蘭が言ってたよ…まさか降谷さんの下につくとは思っていないだろうけどな」
「彼は探偵より刑事の方があっているだろうな」
「「言えてるな」」

そんなこれからの話をしていれば、入り口の扉をたたく音が。

「お話は終わったかしら?」
「三雲さん!」
「どうしたんだい?」

降谷さんが立ち上がり彼女に近づけば、彼女はあきれたような笑みを浮かべた。

「どうしたも何もないわよ、貴方の部下が必死になって探しているわ」
「風見か…」
「HAHAHA、日本人は本当に働き者だな!」
「あら、秀一さん、今回の働き者は日本人だけじゃないようよ」
「…まさか」
「キャメルさんが鼻水と涙と汗を盛大に流し、道に迷いながら探していたわ”赤井しゃーん”てね」
「…Oh」

赤井さんがそう言って頭を抱えると降谷さんが笑いをこらえず爆笑、三雲さんは微笑み、俺は苦笑しか返せなかった。本当は優秀な捜査官なのに…。

こんな風にみんなが笑いあえる日がこんなに早く来るとは思っていかった。
俺は目の前に広がる青い大空を見上げて笑みをこぼした。


〈Fin〉