・緋色の帰還後
・本編に少しだけ関係
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その日コナンは暇していた。いつも共に遊ぶ少年探偵団は家の用事でおらず、共に過ごしている蘭は空手の練習試合に行き、その父は友人と出かけていた。一人予定のないコナンはブラブラと町を散策…。とてものどかな日…だった。だが流石事件吸引器…ただ町を歩くだけで事件に遭遇したのである。
事件現場に行けば、おなじみの刑事である目暮、佐藤、高木がいるではないか。
どうしたのか経緯を聞けば、高木はコナンだとするとペラペラと情報を流す。
事件はとある小さなカフェ店で起こった。被害者は25歳ほどの男性でカフェ店内には、スタッフ三人とカップルが一組、友人同士で来たグループが一組に小学生の男の子が一人だった。

「小学生の男の子以外全員、被害者と何らかの関りがあるんだ」
「……」

コナンは高木から大まかな話を聞くと一人一人事情聴取を取る。
話を聞けば聞くほどそれぞれアリバイがあるため、犯人特定が難しくなる。最後に関係ないかもしれないが、一人コーヒーを飲んでいる少年のもとに向かう。
少年は黒のスーツに黒のボルサリーノを被っており、くるんと巻いた独特なもみあげを持った少年がいた。少年はコナンに気づくとその漆黒の瞳を向ける。

ーなんだ?あのもみあげ…ー

そんなことを思いながらも笑みを浮かべる。

「初めまして僕、江戸川コナン」
「ちゃおっす、リボーンだ」

外人なのか?と思いながらもとりあえず聞きたいことを尋ねる。

「ねぇ君は何でここに?」
「待ち人を待ってんだ…ところでお前まだ犯人みつけれねぇのか?」
「は?」
「意外と大したことねぇんだな…まぁこれ以上時間押すと後が大変だからな…」

リボーンは唖然とするコナンに鼻で笑い、コーヒーを飲み切る。
その言葉を周りにいた大人たちも聞いていたようで全員がリボーンを見る。リボーンはニヤリと笑みを浮かべると、タンっと音を立ててカウンターの椅子から降りる。

「犯人はお前だ」

そう言ってリボーンは犯人である人物の前でニヤリと笑みを浮かべ、見上げる。
見上げた先にはカップルの男の方だった。男は「はぁ?」とイラついたように声を上げ、リボーンに向かって…否子供に向かって発言するようなものではない言葉を浴びせる。彼女である女が止めようとするが、男はそれすらイラつきに変わったらしく、リボーンに拳を向ける。

「死ねクソガキ!!」

警察である目暮たちが止めに入ろうとするが、聞こえたのは男の悲痛な声だった。
リボーンはくりだされた拳を瞬時に交わし、その腕を掴みひねり上げ、男の右肩に足をかけ、右腕をそのまま上に持ち上げるようにしていたのだ。上に引っ張られる力と、下に押される力により、肩がはずれそうになる痛みを男は味わっている。

「"死ね"と人に言ったからには死ぬ覚悟はできてんだろうな?」
「あがあぁああ!!」
「おい、聞いてんのか?そんな弱っちい拳で簡単に俺が死ぬと思ってんのか?」

リボンは容赦なくギリギリと足に力を入れ、腕を持ち上げていく。ついには聞こえたくない音があたりに響き、男は気絶した。

「なんだ?弱っちぃな」

リボーンはそう言ってパッと手を離す。それから女の方が泣きわめながら真実を話す。殺人を犯した彼氏をかばわないと、お前も殺すと脅されていたと。気絶した男と彼女を警察は連行し、リボーンに佐藤が説教をしだす。

「…何してるの?リボーン」

そんな時だった。その場に残った人たちがそちらに目を向ければ、入口に黒のスーツを着た茶色の髪を持つ男が立っていた。どこかで見たことのあるような顔だ…そんなことを思ったのはコナンだけだった。

「おせぇぞツナ」
「そんなこと言われたって…」

青年はツナと呼ばれ、困った顔で目暮から話を聞いて頭を下げた。

「ほらリボーンも謝って!!」
「ごめんなさーい☆」
「ちゃんと謝れよ!!」
「黙れツナ」

ギャーギャーと言い合いを始めた二人の元にさらに、長身の黒髪の男がやってくる。

「ツナ〜、小僧〜…って何事だよ…ま、いいやほら早くしねぇと姉ちゃんキレるぞ?」
「あ、もうそんな時間!?でも山本聞いてよ!!」
「おい、さっさといくぞ」
「ちょっ!!待ってまだ話は!!」

さっさと出て行こうとする三人に待ったをかけるのは佐藤だった。
だが先程やってきた山本という男が現場指揮官を聞き、目暮が彼の所にやってくる。そして何かを見せれば、目暮は帽子を深くかぶり「お時間を取り、誠に申し訳ございませんでした」と頭を下げたではないか。あまりのことにその場にいた全員が驚愕し、何事か問うが目暮はただ口を閉ざし、左右に頭を振るだけだった。
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あの事件から日は開け月曜日…登校し朝のHRを受けるコナンは驚愕に目を見開いた。

「イタリアから来た沢田リボーンだ、よろしくな」
「!!??」

まさかあの謎の人物に再会するなど、コナンは予想もしていなかった。