・組織潜入時代
・正体明かしていない
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シャッとカーテンを開けば、雲一つない青空が広がる。
降谷零ことバーボンはその青空を見て、笑みを浮かべる。本日は珍しく、全員が任務のない初めての非番の日だ。
そのため、バーボンは常日頃からあまりできていない掃除をするため気合いを入れる。
「おはよう、三雲」
「…おはよ、バーボン」
バーボンが朝食をスマホ片手に作っていれば、眠たげに現れてたのは同居組で一番幼いブルームーンこと三雲だ。
彼女は低血圧な為、朝起きてから朝食を食べるまでほぼ無言だ。そんな彼女は毎日恒例で、顔を洗ってテレビをつけ、ソファーに体育座りをしてぼーっとニュースを見ている。
テレビの音が聞こえてくれば、次に起きてくるのはスコッチだ。すでに着替えており、大きな欠伸をしながらもあいさつをしてくる。
「おーす、おはよ〜」
「おはよう」
「…おはよ、スコッチ」
スコッチはキッチンをチラッと覗いて朝食が何かを確認してから顔を洗うため洗面所に向かうのだ。
もうすぐで朝食ができるころ合いになるとようやく三雲の頭も回転してくるようで、箸やコップを並べてくれるのだ。スコッチも料理を運んだりしてくれる。
そして机に料理が並べば、バーボンは「で」とドスの聞いた声で声を発し、ライの寝室を思いっきり叩く。それはもうドンドンというレベルだ。
毎回ライは朝が弱いのか、なかなか起きてこない。本来ならばバーボンも扉を開けて突入したいところだが、初めに決めたルールにより、部屋に入ることができないのだ。
そのためこのようなやり取りが毎日の恒例となっているのだ。
ようやく起きてきたライとスコッチ、バーボン、ブルームーンは朝食をとり、「今日は掃除日和です」と宣言するバーボンの指示に従って掃除を始める。
「バーボン、洗濯物全部入れたよ」
「あぁ、ありがとう三雲…ライ!!洗濯機に洗剤入れて回してください!!」
「はい、洗剤だよライ」
「……」
ガーガーと掃除機をかけていたバーボンはライにそう指示をする。ベランダで洗濯物を取り込み終えたライに三雲は衣類洗剤を渡す。
ライは衣類洗剤の箱を物珍しそうに見ていた。
「バーボン、量はどれくらいだ?」
「一杯!!」
「一杯だよ、ライ量間違えないでね」
バーボンの言葉を再度ライに伝えれば、彼は小さく「いっぱいだな…了解」と呟いて脱衣所の方へ向かっていった。それを見送った三雲はライが取り込んだ衣類たちを畳む。
どれくらいたっただろうか、いきなりピーピーピーピーという甲高い音に衣類を畳んでいた三雲の手が止まった。その音はバーボンも聞き取っていたようで、二人揃って顔を見合わせ、音の発する場所に向かう。
発信源は脱衣所だったらしく、二人は脱衣所で起こっている悲惨な光景に言葉を失った。
彼らの目に飛び込んできたのは泡で覆われた洗濯機と、そこでどうすればいいのか分からない、という顔をして立っているライだった。
「…泡が」
「何やっているですか!!??」
困ったようにこちらを見るライを押し退けて、慌てて脱衣所に入り、洗濯機を止めるべくバーボンは叫びながらストップボタンを探す。一方三雲はライの足元に転がっている箱を拾い上げ、頬を引きつらせる。
「洗剤は一杯って言ったでしょう!!何杯入れたんですか!?」
「いっぱい…」
「それだけでこんなことには「バーボン」
怒鳴るバーボンのズボンのすそを引っ張ってこちらに注意を向けさせ、空になった衣類洗剤箱を見せれば、バーボンも頬を引きつらせ、大きなため息を吐く。その間ライの表情と言えば、いつも通りの無だ。
「…一杯といっぱいを間違えたみたいだよ」
「…沢山いれたんですか?」
「……」
コクンと頷いたライにバーボンと三雲は大きなため息を吐く。
「一杯ではなく、一さじと言えばよかったですね…まさか、これほど家事のできないポンコツだとは思いもよりませんでした」
「伝え方の間違った私たちも悪いよ…ごめんねライ」
「いっぱいとは沢山ではなかったのか?」
ライの言葉に二人は大きなため息を再度吐いたのであった。
そして、衣類洗剤は買い出しに行っていたスコッチに頼んだのだ。
「え、もう家ってかもう部屋の前なんだけど!?」
『文句はライに言ってください』
「マジかよ…」
「すまないスコッチ」
『ライにでもわかる奴を買ってきてくださいね!!』
今度はライも間違わない、ポンと一つ入れるだけの洗剤に変わったのであった。
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