「えぇぇええ嫌だよ!!」
「我儘いうなダメツナ!!」

「嫌だ嫌だ」と繰り返す我がボンゴレ10代目ボスと師匠のリボーンとのやり取りを呆れたように見ているのは、十代目ボスの実姉の三雲だ。その横では苦笑しながら降谷がコーヒーを飲んでいた。それを困ったように見るのは、天野と獄寺、綱吉の愛妻の京子、獄寺の妻であるハルだった。
リボーンが強制的に言えば、愚痴を言いながらも大体は許可をする綱吉だが、今回ばかりは事情が違っていた。

「嫌だよ!!俺には京子ちゃんだけがいればいいんだよ!!なんで他の人とか…絶対いやだ!!!」

綱吉の言葉に京子は赤く頬を染め、ハルは「流石ツナさん!!」とキラキラした目で綱吉を見、姉である三雲は「だよね〜」と頷いていた。(獄寺とハルは「浮気か!?」「違いますぅ!!」と怒鳴りあっていた)
今回リボーンが言ったものは"綱吉に愛人を"ということだ。
何故こんなことになってしまったのか…それは今から数年前にまでに遡る。

当時中学生だった綱吉はそれこそ本当にどこにでもいるような中学生だった。だが、ボンゴレの後継者の一人として候補に挙がってしまったのだ。
本来は候補にすら入っていなかった彼が選ばれたのは、現ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーのボスであるザンザスが己が次期ボスとなるため、他のボス候補を皆、殺してしまったのだ。それにより、イタリアから遠く離れた平凡な生活を送っていた綱吉がボス候補が上がってしまったのだ。だがそのザンザスはボンゴレの血を引いていない為、ボンゴレリングに拒絶され、ボスの座につくことができなかった。
現在ボンゴレの血を引くのは老い先短い9代目と父である家光、三雲、綱吉、そして降谷と三雲の子"蒼空"(ソラ)だけなのだ。

そのため今回その問題が浮上してきた。
もし、綱吉、三雲、蒼空の身に何かあった時、他にボンゴレの血を引く者がいなくなり、ボンゴレという巨大な組織が無くなってしまう。ボンゴレが無くなれば、今までおとなしくしてきた黒マフィアたちが活発に動き出し、世の中大変なことになってしまう。ボンゴレと言う組織は重要な役割をしているのだ。
そのため、リボーンは九代目と元門外顧問の家光、ヴァリアーのボスザンザスと相談し、綱吉の第二の妻をめとろうという考えに至ったのだ。そして明日その女性と会うと、いきなり言ってきたのだ。

だが綱吉からしてはたまったものではない。
好きな女性は中学から変わらず京子であり(一時期ハルに揺れたこともあったが…)、それはこれからも変わることないのだ。しかも今京子のお腹の中には綱吉の子供がいる。
リボーンと綱吉、両者一歩も引かない、その様子を見て、降谷はいつぞやの公安とFBIだなと溜息を吐くのであった。

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「寝たかい?」
「えぇ気持ちよさそうに」

あれから結局一度は会ってみるということで話は終わった。綱吉一人が反対してもボンゴレという大きな組織の決定以上避けることができないのだ。三雲は京子のことが心配だったが、己の子どもの世話があるため、京子のフォローは同年代のハルと相談役にぴったりのビアンキに任せた。
降谷は洗い終わった皿を拭きながら、リビングに座った存在に声をかける。
降谷は現在前線に出ることも少なくなってきた為、これ幸いとばかりに今までの有給消化と産休を取ってきた為、ゆっくりできるのだ。
三雲は降谷の声に返事をしながら、なにやら思案しているようだ。そんな妻を見て、彼女の好きな紅茶を入れて己もリビングにあるソファーに座る。

「…にしてもまさかボンゴレの血を引く者がそこまで少なくなってきているなんて」
「まぁ、ザンザスがあれこれしたのよ…全く」

不満げに彼女は紅茶を飲み、ほぅと息を吐く。何年たっても彼の入れる紅茶は落ち着くものがある。
一口飲んで落ち着いてのかコテンと頭を降谷に預ける。そうすれば、彼はそのハニーブラウンの髪をゆっくりと撫でる。

「…でもなんか嫌な予感がする」
「…それは相手かい?」

そう問えば彼女はコクリと頭を縦にふる。今回愛人となるべく女は綱吉とも年が近く、パーティー会場でもマフィア界の女性には珍しいおしとやかな存在だそうだ。己は会ったことがないが…。

「もしボンゴレにあだなすのであれば…」

そう呟いた彼女の頭を引き寄せ降谷はキスを額に送る。

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ーあぁ、やっとこの日が来たわ

イタリアのとある郊外の屋敷で一人女が嬉しそうにクルクルと回り、真紅のドレスをなびかせていた。女の髪は綺麗なブロンドで瞳は翡翠色。右目の目元には黒子がありそれがまた彼女の色気を出している。ボディラインは世の中の女性がうらやむプロモーションだ。

ーアタシが生まれて変わって20年の月日が経った。ようやく前世からの願いが叶う時が来たのよ!!
アタシが生まれたのはイタリアの郊外にあるとあるマフィア一家。初めは日本ではなく、イタリアに生まれたことを喜んだわ。だってあの人と関われるってことよね!?
でも物語の中心は日本で、やっぱり関わるのが難しかった。そのためアタシは海外研修という名目で日本に留学してみた。だが、年齢の関係があり、せっかく並盛中学に編入できたのに、目的の彼らは卒業した後だった。
残念に思ったものの、中学の先生や、彼に関わった生徒たちに彼らのことを聞くことができた。
でも彼よりも名前が出てきたのは沢田三雲。姉がいるなんて…と思ったが、連載前の漫画には姉がいるという会話がされていたことから、あまり気にしないことにした。
そして、アタシはイタリアに戻って徹底的に己の美貌を進化させた。決して笹川京子に負けないようにするため。

そして私が20を迎えた時、とうとう待ちに待った言葉が聞けた。

「お前をボンゴレボスの嫁として出すことになった」

父からのその言葉を聞いて歓喜したわ。アタシに恋心を持っていた部下たちは悔しそうにしていたけど、それを慰める。
そう、イタリア人として生まれ変わったアタシは笹川京子よりも胸もあるし、可愛いのよ。
そしてあの人との間に生まれる子供もとってもかわいいに決まっているわ。
何も能力のないあんな女よりも、マフィアのボスの娘で教養も美貌もあんな女なんかに負けるはずがないわ。