感情と思考と本音と建て前
こんな自分は嫌いではない。
パンはパサパサとしていて嫌いだし、俺より上にいるやつらは気に食わない。
使えるクルーは増やせばいいし、今のやつらに不満も何もない。(あえて言うとしたらベポの字がまた野生にもどりつつある点ぐらいだろうか)
そもそも、こんな寂れて廃れた自給自足の農家しか無い島に滞在するの事態少し予定が狂っている事もわかっている。
ログさえ溜まってしまえばおさらばであるはずなのにもかかわらず、溜まりきってもう一週間が経過している事実もあった。
「あ、おはようございます。ローさん!」
「ん、ああ」
ようやく、ようやく名前で呼ばれるようになったのだと女々しい事を考えているわけでは決してない。
そうだ、俺がこの娘に囚われているわけでは決してない。
別に一目ぼれだとか言うなんとも非科学的で現実味のない事柄ではない。
これは、そうだ、この娘の反応や対応が酷く珍しいから気になってしまっているだけに他ならないのである。
「今朝は、畑のトマトがこんなに熟れたんです。きっとサンドイッチやサラダにしたらおいしいと思ってサンドイッチ作ってきました」
海賊の俺にこんなにも柔らかく笑う女はなかなかいないだろうと思うし、差し出されるサンドイッチがこんなにもうまいなどと感じるのも一つの珍しくて気になるという要因の一つだろう。
少し日に焼けた肌は、自分とは違って健康的できっと農作業で適度についた筋肉の中に女性特有の柔らかさも兼ね備えた絶妙な抱き心地であろうと予想できる。
そこに行きつくまでには手をつなぐからだろう、とぼやり順序だてているが決してお付き合いなどという夢物語を言いたいわけではない。
いや、付き合いはしたい。違う、夢物語だとか言うんじゃねえ。
時間にして30分程度のやりとりを終えて娘は自分の家に帰って行くのを見送り、名残惜しいなどとは露程も思わず船に帰ってサンドイッチをくるんでいたハンカチをひとしきり眺めていた。
そんな俺にクルーは口をそろえてこう言うのだ。
「いっそさらっちまえばいいんじゃないっすか?」
そんな事したら嫌われんだろうがバカヤロウ
20130909
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