貧乏暇なし
季節を変えるのに金子がかかるとは、雅じゃない。と、ぶつくさと唱える歌仙の隣で、その通りだと強くうなづいた。
政府管轄のこの建物は、刀剣たちへの配慮により日本家屋を模している。
いたるところに現代科学の力を垣間見えるが、審神者それぞれの方針などの様々な理由によって生活環境に差もあった。
そんな中、うちの本丸は貧乏である。
「歌仙、そういうなら稼いできておくれよ」
「四季を買うよりまず食べ物だろう!昨日も漬物と味噌汁しか食べていないのを知らないなんて思っていないだろうね?」
「違いますーー炭水化物抜きダイエットですーー」
報告書を打ち込みながら、やべえと歌仙に背を向けたまま舌をぺろりと出してみた。
先日、サツマイモとトマトが収穫できたと、今剣が嬉しそうに笑っていたのを見て自給自足できそうだと思ったばかりである。
短刀が6、打刀が3、太刀2、薙刀1、槍1、大太刀1の少人数本丸では、あるものの新人審神者にとって政府からの月一回の給与は底辺も底辺。
定例会に現れる他の上位審神者を見るたびに、そりゃ私はランク最下位だと苦笑をこぼすしかない。
私は女であったが、実をいうと大飯ぐらいな方であるし、刀の付喪神とは言え彼らは皆男を模しているだけあってそりゃもうよく食べる。
いくら金があってもたりないと言えば、小夜が私を見上げて「売る?」となんとも不吉な事を言ってくるから口には出さないが。
不意に、モニターの右の隅に政府からの新着の通知が現れる。
普段深夜に配信されてくるためこんなにタイミングよくそれを見るのは初めてに近くずいっと画面に顔をよせる。
件名だけがぽこんと見えるそれに、一瞬にして目が自分でわかるほどぎらついた気がした。
「地下に眠る千両箱…せんりょう…」
私の小さなつぶやきに気づいた歌仙が画面を覗き見て何も言わずに小さくうなづき、翌日には岩融と我が本丸唯一のレア一期一振、今剣、秋田、小夜を連れて地下に潜っていった。
余談ではあるが、颯爽と制覇し、いつの間にやらレベルが20ほど上がりつつ新たな博多藤四郎を連れて戻ってきた彼らだが、もってかえった大量の小判をさっそく使おうとした私が、いとも簡単に博多にしっかりと財布のひもを握られてしまい前と対して変わらない節約生活を続けているのは、また別の話とする。
end
20150927
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