誰にでもスキだらけ

素朴に、純朴に、純粋に、
戦闘員にはできないとドラゴンさんがはっきりと告げたのはもう二年ほど前になる。
普通ならば、革命軍に入隊した新人が半年から一年間行う掃除や洗濯などの雑用を行う名前は、現在進行形でむっすりと頬を膨らませながらつみあがった洗濯物の山を作った雑用あがりの新人に日当りのいい物干し場の真ん中でげんこつを落とした。

「いって!!」

「洗濯物は最低三日に一度は、出す!一気に出されて苦労する立場の事わかってないならドラゴンさんに言ってもう一回雑用組にいれてもらうわよ!」

「そんなぁ!今回は忙しくて…!」

「貴方より格段に忙しいはずのサボさんは、此処にいる時二日に一回必ず出してるけど?」

ドラゴンさんも三日に一回必ずだしてくれるしコアラちゃんとハックさんなんて毎日だしてくれるのになー。などと口元を優しくゆるめて見せる彼女に、新人くんは目線をしばらくきょろきょろさせた後、小さな声でスンマセンと謝罪の言葉と共に自らの足で自分の洗濯物を抱えて歩き出すのだ。

「今日は特別いい天気だから洗濯物の乾きもいいと思うけど」

「参謀総長殿まで甘いことを」

日向ぼっこでもしながら読もう思っていた本を閉じて彼女に近づけばふう、と吐き出された息の先には、一面に見える真っ白いシーツの海が見えた。
昨晩から回収して、早朝から洗い始めたのだろう。
海の匂いとは全く違ったシャボンのいい匂いがそこらじゅうに漂っていた。

「あの子できる子なんだけど、癖になるまで時間がかかるのよね」

「母親みたいな事言ってる」

「あ、それこないだコアラちゃんにも言われたわ」

まだ二十歳なのにこんなにたくさんの子持ちなんて嫌よ。という割には少しばかり嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
母親の様に、姉の様に、妹の様に彼女は軍全体の事が大事でたまらないと酒に酔うたびに口をひらく。
戦えないけれど。と、悲しげにつぶやいては、よわよわしく笑うのだ。

「俺は、名前を母親とは思わねえなー」

「あ、その先読めたわよ。手のかかる妹だって言いたいんでしょ」」

「はっはっはっ」

遠くの方で、さっき洗濯物を抱えていった新人が名前を呼ぶ。
なんなのよといいながらもすぐにそちらに行ってしまうのものだから、彼女は皆から慕われる。
総てを包み込む度量と器量と器と
それでもその入れ物はすこしばかり不良品で、親愛と友愛と恋愛の区別がつかないものだからこうやって苦労している。

あ、ほらまた。そうやって簡単に手伝ってしまって

end
20150520
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