To see it rain is better than to be in it.
いや、はや、実に美しい。
どこかの芝居じみた台詞を吐き出したくなるほどのその容姿にただただレンズはそちらに焦点を合わせる。
海外の血が入っているのだろうか、動くビスクドールというもの生で見ている様な感覚に記録メディアは嬉々としている。
「ああーめんどくせえ、」
感傷に浸る、というのだろう。
新たな感覚に包まれている中、小さいながらに響く様に呟いた政宗さんが刀の刃で空を揺らがせる。
舞っていた木の葉が一枚切れ目が入ってしまえば、落ちると同時に刀の収まるいい音が鳴った。
くいっと、指先を小十郎さんに向けて何か合図をし、小十郎さんが少しばかり渋ってから私に手をかける。
「よろしいのですか?」
「政宗様が最善を考えて指示を出されてんだ、従うしかねえだろうが」
もっとも。
政宗さんが君主なのだから当然従う他ないのだろう。
勝手な行動で忍二人の相手をするのがどれだけの労力を使うことか、私には到底計り知れない。
彼等の実力も、それに対する政宗さんと小十郎さんの力量も、体の無い私には一般的な何の足しにもならない様なデータしか存在しないのである。
「ねえ、さっさと理由。言ってくんない?かすがと共闘なんてなかなかできないし、俺様としては、戦ってくれてもいいんだけど」
「共闘などしない!さっさと両者共々この地から去れ!」
「ちょっとぐらいノってくれてもいいじゃーん」
「うるさい!」
忍の二人をそのままにしておけば、会話はどこか幼馴染のそれに見えて微笑ましい。
が、手元にある物騒な刃物が空気をぱりっと弾き締め続けているのだろう。
紐が解かれ、小十郎さんの手の中に収まった私は、無音、を貫き政宗さんの言葉を待った。
「Hey俺の噂はどこまで聞いた?」
言葉に、また一瞬の静寂がその場を覆う。
ふっと、男の方が鼻を鳴らしてみせたのが拾えた。
「なにそれ、アンタが物の怪に憑かれてるとかそんな与太話の事?」
「HA!So interesting!もっと聞かせてくれよその与太話」
「くだらん、そんな真実でも無い御伽噺を信じるような年でもないだろう」
「御伽噺、いいねえ、聞きてえもんだ」
なあ、アイ。
名前を呼ばれれば、そのかけられた声の先に二人の忍の視線が集まる。
もちろん人影としては、小十郎さんしかいないのだからその表情は警戒から怪訝そうに変化していくもので、しかし小十郎さんが胸元で抱える私の異質さには十分に気付ける能力のある方々なのだろう。
数秒の起動、数秒の間の間にカチャリと刃物が構えられる音がした。
ああ、こんな時どの様に言葉を作ればいいのか喜多さんに聞いておけばよかった。
「アイ、と申します。どうぞお話の続きを私にもお聞かせくださいませ」
数少ない知識のある言い回しを駆使して嫌味を込めて音を放ち、添えられぬ三つ指を青葉城で撮影していた喜多さんの手元を映し出して補う。
きょとんとした画面前の二人を見て、してやったりとばかり笑う政宗さんは、目元を抱えてその場に高笑いをこだまさせた。
「理由見せただろ?通せ、それとも噂に御伽噺っての聞かせてくれんのか?」
それはそれは可笑しそうに、政宗さんは尚も二人を煽り楽しげに笑って見せた。
next
20160819
- 8 -
*前次#
ページ:
ALICE+