four


「なまえちゃん?」

びくりと肩が跳ねるなまえは、髪の向こうで覗き込んでくる猿飛を無視しようと足を早めた。
警告を受けてから、なるだけ猿飛との関わりを避けようとしているものの足の軽い彼は簡単になまえを捕まえる。
関われば次こそ頬をぶたれるだけではすまないだろう。
怖い、という感情だけで拒否しているのは優しく構ってくる彼には酷い仕打ちであると思う。
しかし、痛い思いはしたくないというのがなまえの本音だ。

「どうしたの?ほっぺ」

「…ベッドから落ち、ました」

「あはー、おっちょこちょいだ!」

昨日のあれから慣れていない衝撃故かまだなまえの頬はよく見れば程度ではあるが腫れていた。
気付くわけがないと思っていたのは浅はかだったらしく、見抜く猿飛になまえは少し眉を潜め場違いな嘘をつく。

「でも、大丈夫。なまえちゃんを落とした悪いベッドは俺様が成敗しといたからね」

クスクスという音の似合う笑みを浮かべながら、猿飛は校内へと駆け去っていく。
ベッドを成敗?と首を傾げるなまえだったが腕時計の時刻に慌てて自分の教室へと駆け込んだ。
ふと、教室に入った瞬間になまえは言いようのない違和感を感じた。

「…」

猿飛と関わるようになってから、なまえ自身に視線が集まるのには少しばかり慣れはじめていたものの今日はどこか違う。
視線に含まれた恐怖と困惑。
コトリと席についても尚続くそれになまえは視線を巡らせてみるものの誰からもかち合う事はなく終わる。
杞憂だったかと目を伏せ、始まる授業に耳をすませた。
外では、どこのクラスかがこんな太陽の照りつける中サッカーをしている。

「…駄目よ、あの子に関わるのは」

どこからかそんな言葉が囁かれた。

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20120726


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