pinky

人気アイドルファントムファイブのエドワード。


リハーサル中に敏腕マネージャーセバスチャンに言われた。


「皆様!マンネリ化を防ぐために新しい事に挑戦していただきます」



自分で考える企画。テーマは今までとは違う自分。




「エドワード、お前なんか考え付いたか?」
同じグループのチェスロックに声をかけられた。

「まだ、何も」

「弾き語りなんてどうだ?」

楽器はまぁピアノとバイオリンなら弾けるしそれでいいかと思うエドワード。


「いいご提案で。それでしたらご自分で作詞作曲もなさってみてはいかがですか」
マネージャーのセバスチャンがニッコリ笑う。





何をテーマにしよう…



「身近なものをテーマにするといいぞ」同じグループのソーマがアドバイスをくれた。




身近なもの……

ふっと浮かんだのが一人の女性だった。




ギターの弾き語りなんていいかもしれないな。


楽器が得意なチェスロックやマネージャーセバスチャンに習いギターを猛特訓し、作曲をした。




詞はあっという間に完成。





そして数ヶ月後、ファントムファイブのライブが開催された。




チェスロック、ソーマ、クレイトン、ハーコートの順にソロ曲を披露した。


ハーコートが「お兄ちゃん、お姉ちゃん、次はエドワードだよ、みんな楽しんでね!」と紹介をしエドワードの番。


『エドワードさまぁぁぁぁ』
『きゃぁぁぁぁ』
『エドー!!』
『こっち向いて!!』


紫のペンライトと黄色い歓声が響き渡る。





スポットライトが当たる。
いつものキラキラした衣装でもハードな衣装でもない、そこにはシンプルな白いシャツとジーンズを身に纏うエドワード。



ギターを抱え、マイクスタンドのマイクに手を置く。


〜♪


ギターを弾き始め、歌う。



『いつからか君を見ていた』
『それからずっと君を見ていた』
『何気ない話をしただけで心に花が咲いた』
『ずっとそばに居たいと思った』
『君が居てくれていとしいを知った』
『君が好きだ』
『心にはいつも君が居る』
『全て捨てていとしい君と永遠を過ごしたい』


アイドル。本当はファンを一番見てなくちゃいけないのにずっと君を見ていて。心の中にはいつも君が居た。



歌い終わると大きな歓声と拍手が響いた。


『今日のエドワード様素敵だわ!』


泣いてるファン、喜んでいるファンがたくさん居た。








はぁ…はぁ…
ライブ終了後エドワードは息を切らして走っていた。


人気のない公園だった。



そこには一人の女が居た。



「エドワード!」

「待たせたな」

「私も今来たよ」

「…今日の俺の歌、聞いてくれたか?」

「うん」

「お、俺からのマリアへの気持ちだ」


目をそらして照れ臭そうにエドワードがマリアへ言った。


これからはアイドルとしてじゃなくてマリアのために生きる。