fairy story

人間になりたい。


いつもそう思っていた。
幸せそうな人間達を見る度何度もそう思っいた。



家族に誕生日をお祝いしてもらったり、友達と過ごしたり、恋人と手を繋いだり…してみたいなって。


私には絶対できない事。

私は、天使だから…。天使は、人間の幸せのきっかけを作ったり、人間の幸せを守ったりする。


天使は、一人で行動しなきゃいけない。

本当は寂しい
すごく寂しい。



そして絶対に犯してはいけないタブーがある。「誰かを愛してはいけない」「誰かに愛されてはいけない」



もし、その決まりを破ったら、罪と罰を背負い、受ける事となる。

私の好きな場所。

人間の居る世界にある、誰も使っていない古い教会。


とっても綺麗なステンドグラス、教会の周りは雑草が生い茂っているけど、私にとっては落ち着く場所。



なんだか、元気になれる。

この間幸せを見届けた、結婚式。

いつか、私も幸せになれないかな、なんて祈ってみたりして。




バージンロード。

その先にはパイプオルガンと聖母様の像がある。

パイプオルガンの鍵盤に触れる。
天使の旋律を奏でる。



人間の居る世界に居るときは、ほとんどここに来ている。
ある日、いつものように羽ばたかせながら少女はは教会へ向かっていた。


屋根の位置に近付くと教会から、パイプオルガンの音色が聞こえた。


静かに地上に舞い降り、少し開きにくい大きな扉を押し開けて中へ入ると、パイプオルガンの美しい音色がさっきより強く響き渡る。





『人間が居るのかも』


そう思いながら少女は、不安げにゆっくりとバージンロードを歩きパイプオルガンへ向かって歩いた。


止まることなく響き渡る美しい音色。


その音色を奏でていたのはとても美しい男性だった。



黒髪の紅茶色の瞳を持つ美しい男性。






いつも少女が奏でる天使の旋律を奏でて居た。
しばらくしてパイプオルガンの音色は鳴り止んだ。


ふと、美しい男性が後ろを振り返るとそこには、栗色の髪の毛、エメラルドグリーンの澄んだ瞳をした白い翼を持つ美しい少女が立っていた。




少女とは対照的で、黒髪で、どこか怪しげな紅茶色の瞳を持つ男性。



男性は、立ち上がると、少女に近付いた。


「…探していましたよ…」


少女は驚いた。





「あなたは…」





私の好きな





悪魔さんが目の前に居た。




どうして?





「…どうしてここに?」


少女は悪魔に尋ねた。

少女…天使が頻繁に人間界に来るのには理由があった。




恋した悪魔を遠くから見つめていたからだ。





その悪魔が目の前に居る。




「やっとお会いできましたね。貴女のお名前は?」


「私…位の低い天使だから名前はないの。あなたにはあるの?」


「私はセバスチャン。セバスチャン・ミカエリスです」


「素敵な名前ね…」



羨ましいのか、天使は少しうつむいて言った。





しばらく沈黙が続いて、悪魔は天使に向かって言った。



「マリア。貴女の名前に如何ですか?」


「私に名前なんて…」


「私も主人から頂いた名前ですよ。可愛らしい貴女にお似合いですよ?」

「ありがとう…」



マリアと名付けられた天使は恥ずかしそうにセバスチャンに言った。




セバスチャンは全て見透かしたようにマリアに話かける。

「どうして…悪魔さん…セバスチャンが私の所に?」


これは幻?


「マリアとお話がしたくて…幸せを見守るマリアを私はいつも見ていましたよ」


「え?」


それとも夢?




セバスチャンはマリアの目を真剣に見つめながら言う。



「私は、マリアの事が好きです」



夢よね?



「?!」





お互いはお互いを思いながら見つめていたのだ。


つまりは両思い。




「私の所へ来て下さいますか?」


「でも、わ、私…」


「『天使は誰かを愛してはいけない、誰かに愛されてはいけないもし、その決まりを破ったら、罪と罰を背負い、受ける事となる。』、そう伺いましたが」


「はい。だからセバスチャンとは…ごめんなさい」


「天使も悪魔も関係ありません。私はマリア#が好きです。全てからマリアをお守り致します。ですから私と一緒になって下さい」





セバスチャンは、おとぎ話の王子様みたい。



私に名前を付けてくれて


私を愛してくれて。



夢なら



冷めないで。