「おい」
「ん、なぁに、伽羅。あ、明日はちょっと帰り遅くなるかも」
「明日の朝の食事の支度は出来ない」
「え、なんで?」
「定期更新がある。接続環境から動けない」
「―――――ああ、そっか。春だもんね」
彼らには、年に一度の更新がある。パソコンなんかのそれと同じだ。各個人が趣味なんかでインストールするデータでは無くて、大本のデータ更新。最適化というやつだろうか。とにかく年に一度、大倶利伽羅がどうとかではなく支援人形自体の基礎データの更新日というものがある。
パソコンにつないで、情報を更新して、確か半日ほどで再起動がかかる。
なるほど、夜のうちに繋いでおいて朝から更新し始めて、昼頃に起動。
そうだね、そんな季節だった。忘れていたわけじゃない。でも、そうだ、そんな季節になったのだ。
「それじゃあ、起こしても貰えないかー。仕方ない、自分で起きないと。一日くらい自分でやるって。加羅が居ない時はちゃんとひとりで出来てたんだからね」
「ああ」
「がんばってね……って言うのも変か。勝手に更新するんだもんね。でも、うん……伽羅、がんばってね」
「ああ」
パソコンにつないだままスリープモード。日付が変わったら勝手にデータ更新が始まるだろう。
膨大な量のデータが更新されて、昼には再起動がかかる。
「おやすみ、伽羅」
おやすみ、私の大倶利伽羅。
その日の深夜、私は、大倶利伽羅をゴミ捨て場に捨てた。