JKが性転換させられて薬研を性的に食べる話
ぱたりと、四角く薄いタブレットを"彼女"──彼は、そっとひっくり返した。
すると今まで目の前で展開されていた青白いこれまた四角い光はぱっと姿を消し、そこに浮き上がっていた細やかな文字の数々も同じように形を溶かすのだ。
このタブレットは政府が配布した審神者御用達のパーソナルコンピューターであり、現世から隔離された審神者達のお楽しみの一つでもある。
業務から定期連絡までの所謂ノルマをこなすのには勿論、あんな動画やそんな漫画まで、ありとあらゆる娯楽を楽しむことも出来るまさに一家に一台は欲しい代物なのだ。
噂では、普通に買おうとしたら家が買えるんだとかなんとかと実しやかに囁かれていたりもするけども。
しかし彼女だった彼は、そんなことはどうでもよさ気にその瞳を障子の方へと向けていた。
そうして、息を一つ吐いてこう囁いてやるのである。
「──入っていいよ」
扉の前に居るであろう人物に、優しく、けれど、なんでもないように。
開けたら疲れるであろうことは解りきっているのに、なのに、なぜだかそれが"当たり前"のように。
昔は確かにあったはずの"開けない"選択肢は、いつの間にかなくなってしまっていた。
それがどうしてかなんて、考えることすら彼女は、やめてしまったけど。
「……大将、邪魔する」
華奢な見た目には少し似合わない、低めの声。
するりと音もなく障子を開いたのは、今じゃすっかり見慣れた男の子だった。
「いらっしゃい、薬研くん」
彼──薬研藤四郎は、どこか熱に浮かされたような眼差しで彼女のことを見つめては、忍びきれずに吐息をこぼしていた。
その唇はなにもしていないのに艶々と濡れており、ああ、甘そうだなあ、なんてぼんやりと変態みたいなことを思ってしまう。
なんでか知らないけど、思うようになっている。
「で、どうしたの?」
わかりきっている質問を、けれど彼女はいつ戻りに囁いてみる。
すると薬研は切なげにくっと眉毛を吊り下げて、そのまま荒々しく障子を閉めて流れるように彼女の身体にぎゅうと抱き着いてくきた。
「うぅ……」
はあ、と既に熱く茹だった吐息が首筋を擽る。
けれど、彼女の思考は薬研ではなく障子の方に向けられていた。
だって、あんなに綺麗に開けたのに、閉める時は割と乱暴だったから。
こういうとこ、男の子だなあ、なんて頓珍漢なことを思ってしまったのだ。
そんなことを思ってる内にも、首筋に顔を埋め抱き付いたままの薬研は、その細い身体を止めようとはしなかった。
むしろもっともっとくっ付きたいとでも言いたげに、彼女にぎゅうぎゅうと縋り付いては、その身体を擦りつけてくる。
まるで、マーキングでも、するみたいに。
「たいしょお」
少し掠れた、あまい声。
放っておいたら泣き出すんじゃないかと思うくらい蕩けきったその声音に、彼女は小さく息を吐きながらその身体に腕を回してやった。
そうして、背骨をなぞるように、大きな手のひらで上から下まで撫でてやる。
「んっぁっ、」
するとどうだ、たったそれだけで薬研は身体をふるりと震わせくたりと彼女に身体を預けた。
文字通り、腰砕けになってしまったのだ。
誰よりも我慢強い癖に、変なとこで耐え性がないなあ、なんてズレたことを思いつつ。
はふはふと息をどんどん乱していく薬研の耳元で、内緒話でもするみたいに彼女はこう囁いてあげることにした。
「薬研──どうしたの?」
おなじこと。
おんなじ、質問。
でもそれでも、薬研にとってはひとたまりもない薬そのものだったようで。
すん、と鼻を小さく鳴らしたと思ったら、うんとあまい声で小さな子供みたいにこう呟いては縋ってくるのだ。
はくはくと、溢れる吐息は酷く濡れていた。
「あ──あつ、くて」
「うん」
「は、腹の、奥がじんじんして」
「うん」
「たいしょ、たいしょお……」
たすけて。
すんすん鼻を鳴らしながらそう呟く薬研は、しかしもう自分で動く理性もないようで。
まるで"許し"を請うかのように彼女に媚びては、何もしていないのに勝手に火照っていく身体に逆らうことなく従ってしまう。
本当に、耐え性のない身体である。
しかしそれは、決して薬研一人の責任ではなく。
前任の──あの豚の、とりわけお気に入りだった薬研は誰よりもしつこく丁寧に、"どうあるべきか"を叩きこまれてしまったのだ。
結果として薬研は、一人では達することも出来なくなってしまった。
なのに、脳内に焼き付いて離れない熱に浮かされ、身体を持て余すようになっているのだ。
勝手に体が疼いて、悶えて、持て余す。
見た目は、華奢な少年だというのに、完璧に上から下まで調教され尽くしてしまってるというわけである。
本当に、前任はド変態である。
そうして今も、燻った熱に逆らうことも出来ずに、恥を忍んで彼女に助けを求めてきたのであろう。
しかし理性はまだしっかりとあるもんだから、薬研はもじもじと居た堪れなさそうに視線を彷徨わせてはすぐに俯いてしまう。
その仕草は、下手したらそこいらの女の子よりもよっぽど"らしい"のだ。
だから彼女も、そんな薬研に、仕方ないなあ、だなんて思いながらを手を出してあげるのだ。
だってそうしないと、泣きじゃくって可哀相なことになってしまうことはもう知っているから。
「──薬研、ズボン脱げる?」
そう囁いてやれば、ひくん、と小さく喉が動いた。
そうしてその薄い身体を離したと思ったら、紅潮させた頬のまま、薬研はこくりとひとつ頷いて自分の服に手を掛ける。
けれど、上手く指を動かせないのか、かちゃかちゃと金具に翻弄されるだけで、そのベルトは一向に外れる気配を見せない。
「う゛ぅ……たいしょ、外れない……」
「じゃあ、出来ないね?」
そう諭すように問い掛けてやれば、ぎゅうっと唇を噛み締めて薬研は俯いてしまう。
ちらりと見えた瞳には、いっぱいの雫が溜まっていて。
恐らく瞬きでもしてしまえば、簡単にぼろりとこぼれてしまうことが見て取れた。
そんな風に、彼女が冷静に薬研のことを観察している最中も、一生懸命薬研はベルトを外そうと躍起になっている。
上等な革を縺れる指で一生懸命引っ張って、細い金具を、なんとか外そうと頑張って。
でも外せずに、焦りをなんとなやり過ごすように唇を噛み締めてはぎゅう、と指先に力を込めているのだ。
その姿が、あんまりにも必死なもんだから。
だから彼女は仕方なく──そう、仕方なく。
薬研にちょっかいをかけてあげることにした。
別に意地悪じゃない、ただ、こうするととりわけ薬研は喜ぶのである。
だから別に、意地悪なんかじゃあ、ないのだ。
薬研が乗っている片足に力を入れ、ぐり、とその股に押し付けるように動かしてやる。
するとびくりと身体を硬直させ、すぐさま背骨を曲げて、蹲ってしまった。
息を飲んだままなのか、その呼吸は、耳を澄ませなければ聞こえない程に、か細い。
しかしそんな薬研にもお構いなしで。
彼女はぐりぐりと太ももを揺らしては、どことなく意地悪な声でこう囁いてあげるのだ。
「ほぅら。こんなんじゃいつまでも脱げないけど。いいの?服、べたべたになっちゃうよ」
「ぁっ……、っ、ぅあっ、や、ッ…っんんっ……!」
「あれ。これだけで良いの?私足揺らしてるだけだけど。これだけで薬研てば気持ちよくなっちゃうの?変態さんだねえ」
「ふぅっうっ、……!」
言えば、ふるふると小さく首を振って薬研は否定をする。
しかしその顔は、耳まで赤く紅潮しており、さらりと揺れる髪に混じってぺたりと首に髪が張り付いていた。
──汗をかくまでに、勝手に興奮しているのだ。
そんな薬研を観察しつつ、彼女はそっと一向に脱げる兆しの見せない下半身に手を出してあげた。
指先まで熱く火照っている手のひらごとベルトを掴んで外し、そのままゆっくりと見せつけるようにファスナーをじじじと降ろしていく。
「は、はあっぁ……ッ」
薬研の視線は、自分の付け根に釘づけだ。
その息は、心配になってしまうほど浅く荒い。
その内過呼吸になってしまうんじゃないかと思うけれど。
でもきっとそれすらこの子にとっては興奮材料なのだろうと、どこか客観的な視点のまま、彼女は焦らしては薬研の服を脱がしていく。
「ほぅら。もう固くなってる。気持ちよかったんだね。薬研ってば、変態さんだねぇ」
あれだけで、気持ちいいんだもんね。
そう囁いてやれば、ふるふると女の子みたいに身体を揺らして、薬研はすん、と鼻を鳴らした。
見れば、頬を伝って大粒の涙が数滴こぼれてしまっている。
しかし彼女はそれににんまりと口元を歪めるだけで、うっそりと瞳を細めたまま慰める素振りも見せずに薬研を追いつめていくのだ。
「変態さんでしょ。だって私、まだなんにもしてないのに」
「……ちが、ちがう……っ、」
「なにが?」
「おれっち、はァっ、へ、へんたいっじゃ、ないっ……!」
ずるりと、恥じるように、細い身体は縮こまって彼女の身体に再度縋り付いてくる。
まるで許しを請うようにおでこを彼女の肩にぐりぐりと押し付けて。
その触れた部分が熱く、少し濡れてきているのは薬研が泣いているからだろうか。
ちょっと意地悪し過ぎかなあ、なんて思いつつも、しかしやめる素振りは一切見せずに声だけは優しく彼女は舌に言葉を乗せていくのである。
「でもさあ、薬研は、我慢できなくって私のとこに来たんでしょ?一人じゃ気持ちよくなれないから、私に気持ち良くしてもらいに来たんでしょ?」
「っ、」
「どうしたの?違うなら、違うってちゃんと言わなきゃ」
じゃなきゃ、弄ってあげないよ。
そう呟けば、ぎゅ、と薬研はより強く縋りつく。
けれどその肩も、指先も、可哀相なくらい震えてて。
ああ、泣いてるなあ、と、彼女は思う。
恥ずかしくって、認めたくなくって。
でも本当のことだから、否定もしきれなくて──やっぱり、弄って、欲しくいから。
だから悔しくても強く否定できなくて、自尊心と矜持がない交ぜになっては、こうやって可愛くすんすん泣いてしまうのだ。
再度言おう、何度だって言い張ろう。
これは決して、彼女自らが望んで──そりゃ最近ちょっと楽しく感じたりもするけど──弄り倒してるんじゃあないのである。
ただ、何回も襲われ強請られ肌を重ねている内に、段々と彼女はあることに気づいてしまったのだ。
薬研は、割とMなのだ。
本人も無意識だけど、でも、確実に。
ただ肌を重ねても、この子は決して満足をしなくて。
最初から"許可"を与えても、薬研は満たされることなく何度も何度も"次"を望んでくるのである。
それこそ最初は、ぐでんぐでんに疲れ果てたのは彼女の方だった。
この華奢な少年の今までの境遇に憐みを持ってとりわけ優しく犯してやったら、けれど中々当の少年はなぜだかいつまでも元気なままで。
本当に、絞りつくされるまで遊んでやっと解放されるだなんてことがしょっちゅうだったのである。
しかもそれは、薬研だけではなく。
三日月も一期も──というかこの本丸にいる大体の刀剣男士たちは、どっからくるんだその体力はと罵りたいくらい体力お化けだったのである。
一回だけじゃあ、満足しない。
二回やっても、顔も真っ赤だし息なんて死んでしまいそうなくらい荒い癖に、次を求めてくる。
三回目なんて意識も朦朧としてる癖に、足だけは必死に絡めて縋り付いて来て。
結局、彼らが本当に気を失うまで抱き潰すしか、彼女が夜の運動から解放される方法はなかったのである。
そんなことを繰り返していた、ある日のこと。
夜も寝つけず次から次へと襲われていた時、たまりかねて彼女は遂に絶対にやらないぞと思っていたことをしてしまったのだ。
──詰まる所、前任者の手法で犯してみたのである。
薬研ならば、最後の最後まで、許可を出さない。
三日月ならば、暴力的にとことん容赦なく犯し尽くす。
一期一振りならば、散々言葉で攻め立ててプライドを砕き潰すように。
まさに、いい加減にしろやと言う牽制も込めた最悪な手法。
しかしその結果は──なんとまあ、大成功だったのである。
彼らは皆揃いも揃って、ついうっかり"今までの絶倫っぷりはなんだったの?"と聞きたく成る様に、見事一発で大人しくなってしまったのだ。
いやもうほんとに、今までのもう一回はどこにいったんだと言わんばかりの。
今では、連発に馴らされた彼女の方がたまに物足りなくなってしまうというまさかの事態に陥るほど、彼らは簡単に陥落するようになったのだった。
そうして、この薬研藤四郎は、実は言葉攻めが大好きなM属性を兼ね備えていた。
そもそもが、射精を管理されてる時点でもうMの素質を育てられていたのかもしれない。
もしくは、皆の兄貴分として気を遣って頼られてる分を、こういう形で発散しているのかもしれない。
それほどに、そうではと邪推してしまえるほどに、薬研藤四郎は虐められれば苛められる程喜ぶのだ。
射精管理は、まだ序の口。
そこに至るまで、散々言葉で追いつめて、泣かせて、彼が今まで積み上げてきたプライドを一つ一つ崩してあげて。
そうして、全部を丸裸に脱がせてあげてからが、やっと本番なのである。
やっと、この子が素直に満足してくれる状態なのだ。
やっぱり兄弟だからか、一期一振に似てるなあ、だなんて思いつつ。
彼女は今日も今日とて仕方ないというスタンスで満足いくまで甚振ってやる所存なのである。
何度だっていうが、望まれてるからやってあげてるだけなのだ。
自分の性癖は正常っていったら正常なのである。
変態になんてなってたまるか。
しかし、今はちょっと時間がない。
今日の業務は大体終わってるけど、早いことスレッドに書きこまなきゃ他の審神者たちに心配されてしまうだろう。
なんせ、なんかちょっと不穏な雰囲気の最中離脱してしまったのだ。
早く戻って、自分は無事であると主張しといた方が良いと、思う訳だから。
「──ッぁあっっ!!?」
だから彼女は、薬研を首に縋りつかせたまま、徐にその大きな手をズボンの中に突っ込んで。
そうして実に容赦なく、簡単に手の中に納まる薬研のそれを片手で扱き始めたのである。
そうして、そんな審神者の行動に参ったのはやっぱり薬研の方だった。
いつもなら長引く押し問答を、こんな急に切り上げ性急に事を進められるのは久しぶりのことで。
恥じらいつつもじわじわと腹の底を焦がし始める熱に緩やかに感じ入っていたものだから、審神者の突然の行動に薬研は面白い位身体全体を跳ねさせ目の前のしっかりとした首筋に縋り付くしか出来なかったのである。
「た、たいしょッ、ぅあっ!?、アっ、あぁああっ、!ヒッ、ああッっ」
「んー……」
「あうっ、ん゛んっ、ふ、はっ、はあッぁッア、っあっ!」
「ああ、薬研。当たり前だけど我慢してね」
「────ッ!!!!」
言われた言葉に、制限に。
ぶわりと腹の奥の熱は深さを増していく。
それはまさに条件反射そのものだった。
必死に、ただ、必死に。
ふうふう、と息すら堪え、薬研は健気にも耐え抜く姿勢を取ろうとするのだけど。
けれど審神者は、そんなの許さないとでも言うように、薬研の薄い腰にしっかりと手を添え、もう片方の手の動きを更に早く動かすのだ。
いつのまにか粘りの増した音を立てて、的確に薬研の弱いとこばかりを、攻め立ててくる。
それのなんて、堪らないことだろうか。
大きな癖に、その指先は、嫌になるほど器用で、気持ちが良い。
射精を促すように動くその手のひらに、薬研は瞬きをすることすら忘れてただひたすら耐えていた。
唾の一つでも呑みこもうなら、今すぐにでも気をやってしまいそうなのに。
なのにまだ"許して"もらえてないから、必死に、必死に耐え抜くしかなくて。
強すぎる快楽に、行く場のない競り上がり続ける絶頂の兆しに、薬研はただ身体を固く強張らせて留めることしか許されないのだ。
──まだ、まだか、まだなのだろうか。
ぐらぐらに煮詰まった思考が、そんな問いかけを胸の中でぽつりと溢した。
思考回路は既に壊れ始め、薬研の意思は、少しずつとろりとその輪郭を失くしていく。
気付けば口の端からは呑みこみ切れなかった唾液がたらりとこぼれていて、審神者の服に染みを作っていた。
──のまなきゃ、つば、のまなきゃ。
薬研は思う、審神者の服を汚してはならないと、とろけ始めた思考で必死にそう思う。
けれど、そこまで思って、あれ、とその形の良い眉を狭めてしまうのである。
唾を呑むって、どうするんだっけ、なんて。
どうやったら、審神者の服を、汚さないのだっけ──と。
「あっ…ッ、ふあっ、う゛ぅっう〜〜〜〜っ、」
必死に、必死に考えているのに。
なのに、止まることのない下からの快楽に、薬研の頭はもうどろどろだった。
簡単なことの筈のなのに、答えが、その切れ端すらつかめない。
考えようとすればするほど、とろりと脳髄が蕩けて形を失ってしまうのだ。
ああどうしよう、どうしたら。
そんな風に、薬研がぼろりと涙を溢した──時だった。
「じゃあ、一回イってもいいよ」
瞬間に、無慈悲の塊みたいなその声音に。
薬研の視界は、いとも簡単に白く塗りつぶされた。
ぞくぞくと、爪先から頭の天辺まで、悪寒にも似た感覚が駆け抜けていく。
力なんて碌に入らなかったはずなのに、思いっきり背筋を仰け反らせてはあんなにも耐えていた絶頂感に為す術もなく身悶えていたのだ。
それはいつもよりも、大分早くて。
だけどやっぱり──死にそうなくらい、きもちいい。
「──ぁっ、ァぁッ……、……!!」
はくはくと、呼吸が、つらい。
足の指は痛い位にぴんと伸ばされて、びりびりとした痺れで麻痺して動きにくい。
なのに心臓は煩いくらいにばくばくと喚き続けていて、耳まで熱く遠のいていた薬研は、その蠢く血流の音にどうにかなってしまいそうだった。
今、自分がどんな格好で、どうなってしまっているのかもわからない。
ただ、気持ちが良くて、頭が真っ白で──まだ、ぜんぜん、たりなくて。
──たりない、ものたりない。
ただ熱を吐き出すだけじゃ、まだ、足りない。
そう、薬研が思ったのと、まさに同時期にその声は降ってきた。
「じゃあ薬研、自分でいれてみな」
はくりと、喉が鳴る。
しかし薬研は、言われた言葉に蕩けた瞳を細めるだけで答えることが出来なかった。
「……、ぃれ、る……?」
咽喉が、ふるえる。
唐突に投げかけられた言葉に、頭が、上手くついていかない。
審神者は、この男はなにをいってるんだろうと濡れた瞳でぼんやりしている薬研に、しかし審神者は言葉は返さず徐に薬研の細い腰をぐいと持ち上げたのだ。
「っ、ん……!」
碌に力の入らない身体で、無理やり膝をつかされて。
ふらつきながらもなんとか身体を支え、ぱちぱちと瞬きをする薬研の目の前で、審神者は自らの着物を脱ぎ始めたのだ。
審神者は、いつも着物を──いや、浴衣を着ている。
脱ぎやすく着やすいという理由だけで、審神者に支給される制服でも自らの時代の衣服でもなく浴衣だけを着用しているのだ。
彼が望んだ四季が春で固定されているのもひとつの理由なのかもしれない。
気持ちのいい季節だから、気持ちのいい服を着たいとこの審神者が言っていたのは、随分と前のことだ。
着物を着るべきだとか、春に着るものじゃないとか浴衣にいちゃもんをつける刀剣たちも少なくはないが、けれど。
こと"こういう場面"に置いては、浴衣と言うのは実に実用性の高い衣服であるわけで。
目の前で、審神者の身体が暴かれていく。
簡単に帯を外して、前を肌蹴させて、この本丸にも今じゃすっかりと見慣れてしまった下着を、腰を浮かせて脱いでいく。
すると前任とは比べものにならないくらい立派な摩羅に、薬研はくらりと眩暈を感じた。
そうして、はしたなくもこんなことを頭いっぱいに思い浮かべてしまうのだ。
──ああ、これに貫かれたら、さぞや気持ちが良いのだろうなあ、なんて。
薬研の痴態を見て、興奮したのだろうか。
審神者の摩羅は、しっかりと上を向いて怒張していて。
ぐらぐらと、薬研の理性は煮詰まるように崩れていくのだ。
「ひ、ぅっ、」
「薬研、自分で、いれられるでしょ?」
審神者の左手が、ずるりと薬研の下着ごとズボンを引き下げた。
思わずふらつく薬研の身体を右手で器用に支えて、そのまま簡単に取り去ってしまった。
この逞しい男のことだ、きっと、薬研ひとりの身体なんて軽いものにちがいなくて。
なのに、可笑しなくらい丁寧で優しいその手付きのアンバランスさに、薬研の呼吸は荒れる一方だった。
もう、審神者といるだけで、薬研の身体は勝手に欲情を続けてしまうのだ。
「お尻の穴も、とろとろだしさ。昨日もやったもんね。そりゃ、まだ弛いか」
「あっ、ッ、あ、あ、っ」
「ほら、簡単に指は入っちゃうし。あ、でも入れると引き締まるね」
「……っふうっん!アっ!」
審神者の長い指が、控えめに薬研のナカに入ってきて、思わずぶるりと背筋を震わす。
たったそれだけで、薬研本人すら自分の収縮をいやという程感じてしまったのだ。
ひくひくと、穴が、物欲しそうにひくついているのがわかってしまう。
浅ましい期待をしている自分の身体に、薬研は自分でも驚くくらいに頭に血が昇ってしまった。
だって、視界すら、真っ赤に染まってしまいそうだ。
「ほら、入れなきゃ。奥まで入ったら、気持ちいいんじゃない?いつもみたいに顔真っ赤にして、涎垂らしてさ。ここに腰降ろしたら、ぐちゃぐちゃに気持ちよくなれるんだよ?薬研は、気持ちよくなりたくないの?」
「…、………っ!」
──なりたい。
審神者の声に、言葉に、ぞくりと身体を震わせながら薬研はそう思ってしまう。
だって、自分はしっているのだから。
この摩羅に突かれる気持ちよさを、正体を失ってしまうほどのあの快感を。
もう嫌と言うほど、知り尽くしているのだから。
腰を、腰を、下ろしたら。
この身体で、審神者のものを受け入れたら。
そしたら、そしたら、とても、とても気持ちが良くて────
「──でも、自分で入れたら、やっぱり薬研は変態ってことだよねえ」
瞬間に、ひぐりと、薬研は喉を鳴らしてしまった。
へんたい、変態、前任者と同じ、異常性癖者。
今ここに腰を自ら降ろしたら、それと、同じ存在になってしまう、のか。
自分を散々犯したあの下卑た男と、同じになってしまうのか。
──そんなの、いやだ。
薬研は思う、熱く煮えたぎった思考のまま、そう思う。
あの男と同じになりたくなくて。
でも、気持ちよくなりたくて。
早く早く、この熱に貫かれてしまいたくて。
でもやっぱり、自分が異常だと受け入れたくはなくて。
でもそれでも──脳髄まで、犯されてしまいたくて。
相反する感情に、受け入れたくない心情に。
けれど終止符を打ったのも、やはり、審神者だったのだ。
「あー、もう、いいや」
心底待ちきれない、そんな声音が聞こえたかと思ったら。
いつの間にか引き抜かれた手も含めて、がしりと両手で薬研の腰を強く掴んできて。
薬研がなにか言葉をいう暇すら与えず、そのままぐっと無理やり薬研の腰を下ろさせたのだ。
「──〜〜〜〜っッッァあ゛!!!?」
ぶわりと、熱が爆発する。
一気に最奥まで貫かれた薬研は、目を大きく見開いて快感を逃がすことすらできず暴力的なその激流を身体で全て受けきることしか出来なかった。
──けど、熱は、吐き出せない。
だって、審神者の許可を、与えられてないから。
だって、審神者自身に、いつの間にか、戒められていたから。
「ふっくっあ゛、ああっ!あぁアあッっ……!!」
「あーっ、やっば、きもちい」
「んん゛んんっ〜〜〜〜ッッ!!たいったいひょっ、て、てはなしぃっぁああ゛あ……!!?」
「あは、はっ、やっぱ、奥まで、入んないね」
大きな左手でしっかりと根元を握られたまま、問答無用で律動を始められて薬研はぎゅうと目を瞑って馬鹿みたいに喘いでしまう。
震える手で自分のものに手を伸ばしても、碌に力の入らない指先じゃあ一回りは軽く違う審神者の手を退かすことなんて、出来なくて。
ゴツゴツと奥を小突かれているのを身体で感じながら、薬研はされるがままにその身体を弄ばれていた。
薬研の身体は、小さい。
それは短刀だからで、仕方がないもので。
大きな審神者のものは、いつもどうやったって最初は全部入りきることはないのだ。
だから今も、審神者の下生えまで、薬研の腰はついていなくて。
ガツリと貫かれる衝動を、ダイレクトに体内で感じては、口端から垂れる涎を拭うことすら忘れて薬研は舌を突出しよがっていた。
だって、すごく、気持ちいい。
「あ゛あぁあッ……!あっあ゛あ〜〜〜っあ、あ、あ!!」
「はっ、っ」
「たいひょっ、も、あ゛っ!、あぁうう゛うぅ……!!イきたっやあっ……!」
「ん〜〜?、あははっ、なにっ?まだやだ?」
「ひあっちあぅっ、ぅあっ、い、いっひゃうっ、からぁあっ……っ」
「なんていってんのか、わかんない、よっ、!」
かわいい。
そんな言葉が、耳の奥に吹きかけられる。
それすらも薬研にとっては興奮材料で、腹の底から快楽を蠢かせては吐き出すことの出来ない熱の多さにぼろぼろと涙を溢しては声を漏らすのだ。
もう、息を吐いているのか、吸っているのかすらわからない。
ただ遠くなってくる耳が、首が、燃えるように熱い。
抱き付いている逞しい首に爪を立ててやりたいのに、そんな小さな力すら、上手くこめられない。
ただ審神者の好きなように腰を動かされては、玩具みたいにゴリゴリと奥を抉られているのだ。
それはもう、薬研の限界なんて、顧みることすらしないで。
「は、はあーーっ、あっア゛ッんあぁあっ、ああっあ゛!」
汗の、匂いがする。
それと、少しだけ甘い審神者の髪の毛の匂い。
男の癖に、この審神者は女みたいなものが好きなようで。
一々小物が可愛らしかったり、洗髪剤の匂いが甘かったりと、わりと見た目とそぐわないことが多々あって。
折角男らしい見目なのだから、それをもっと誇ればいいのにとひっそりと思う薬研からしてみれば、その趣味は審神者の中でほんの少し、ほんの、ちょっとだけ気に食わない部分だけれど。
ことこういう時に限っては、その匂いは、鼻に付かない、全く違う物に変質してしまうのだ。
審神者の匂いと、甘い匂いが、混ざってる。
いつもなら女の様だと笑ってしまうのに、どうしてだか、今はそれが非常に官能的に感じてしまう。
アンバランスなそれに、色香すら感じてしまって、たまらなくなる。
あつい、熱い。
瞳の奥も、喉も、耳も、どこもかしこも。
下から突き上げられるたびに、薬研の頭は白くスパークが弾ける、思考を白く覆い尽くす。
でも、あと一歩越えられない、越えちゃいけない。
だって、まだ、許して貰えてないんだから。
そんな、時。
唐突に、審神者は、薬研を戒めていた左手をぱっと離したのだ。
「ァ──……っ、ッッ、!、は、〜〜ッひぃっ……!!、!!?」
熱が、ぶわりと蠢く。
腹の底が、焼けただれてしまったかの様に熱い。
足は勝手に引き攣り、強張って今にも気をやる体勢を無意識にとっているのに。
なのに──なのに、なのになのに、なのに!
びくんっ、と身体が大きく跳ねていく。
腹の中が、可笑しな動きをしては、薬研の支配を離れて勝手に動いている。
だけど、それでも、薬研は達することが出来ないでいた。
もう全ての条件は揃っているのに、薬研の性器は、痛々しいまでにぱんぱんに膨らんででいるのに、なのに、それでも。
許可を、たった一言を貰えていないから。
だから薬研は、いつまでもどうしても、我慢を、するしか、できなくて。
「ア゛っ、〜〜〜〜ッっ、んっふうっ、ん゛んンっ、……!!!」
ぎゅうと身体に力を込めて、丸めて、耐えきって。
上から下まで駆け巡る快感の渦を、なんとか、喉の奥に呑みこんで。
ひっひっ、とみっともなく溢れる自分のしゃくり声を遠くなった耳で聞きながら、薬研は、一瞬全てのことを忘れてしまった。
気付けば、身体はごろりと床に転がっていて。
碌に力の入らない身体は、意思に反してぴくぴくと至る所を跳ねさせては、くったりとあちらこちらに散らばっている。
でも薬研は、自分がどうして寝いているのかも、もう理解できていなかった。
なんでここに居るのかも、なんで自分がこんなことになっているのかも。
なんでこんなに気持ちの良いことになっているのかも、なんでそれを、我慢しなくちゃならないのかも。
一瞬、本気で、全てを忘れてしまったのだ。
けれどそれも、目の前の審神者の瞳を見詰めてはくりと思い出す。
そこには、身体の大きい男が、薬研のことを見下ろしていた。
その瞳は日本人らしい焦げ茶色で、意外にも、縁取る睫毛の量は多くって。
軽くひきつけを起こしかけている薬研のことを濡れた瞳で見つめては、汗でぺたりと額に貼り付いた薬研の髪を、そっと流した。
どこもかしこも真っ赤に染まりながら、薬研は思う。
真っ白でちゃんとした輪郭すらも掴めないままで、こう思うのだ。
──ああ、そうだ、自分は、この人のものだから、"こう"なんだ。
いうことをきかない子は、だめな子で。
だめな子は、たくさんおしおきをされてしまって。
おしおきをする人は、つよいから、逆らっちゃ、だめで。
逆らわないためには、ゆるしてもらうためには、おねがいをしなくちゃあ、いけないのだから。
ぐるぐると、思考がまわる。
はふはふと、浅い呼吸は考えることを阻害する。
上手にものを理解できなくなった頭は、とても原始的な解決方法しか、みつけられなくなっていた。
「た、たい、ひぅ、ッ、ァ、あっ、たい、たいしょ、うぅ゛ぅ」
「……なあにー」
必死に喉を奮わせれば、大丈夫だと判断されたのだろうか。
応えと共に、ずん、と下からまた熱いものが突き上げられている。
けれど薬研のふとももは、先程までとは違い今はしっかりと審神者の下生えとくっ付いていて。
激しく下から突かれる度に、ぶつかる肌の音が、感触が、"犯されている"という錯覚を薬研の頭に植え付けていくのだ。
そう、この人は強い人だと言う、錯覚を。
「ゆるひ、てッ、もっ、あ゛っ、!んんっ、」
ぽろりと一度言葉がこぼれれば、後はもう、溢れるだけで。
日頃なら絶対に言わないであろう言葉を、なんの躊躇いも恥じらいもなく、薬研は次から次へとこぼしてしまうのだ。
審神者に縋る、あまい甘い、泣き言を。
「も、やらぁッ…、…った、たしゅ、たしゅけてぇッ…、…んひっ!うぁっ、ァはっ」
先程よりは、大分緩い律動に。
けれどそれでも、今の薬研にとっては堪らない責め苦に違いなくて。
ひぐひぐ喉を鳴らしながら、涙と涎でべちゃべちゃになった顔をぶんぶん振って泣きじゃくるのである。
あつくって、くるしくって。
でもきもちよくって、もうゆるして欲しくて。
「あーーっ、ぅあっ、ッうう゛ぅぅ…!、…っ、たい、たいひょっ、んんっ!」
薬研は、ほぼ無意識に碌に力の入らなくなった指先を、腕を、審神者の方にくたりと伸ばした。
なんでかわからないけど、目の前の男に触れたい、なんて思ったからだ。
どうしてそんなことを思ったのかは、全然、わかんないけど。
でも触れたくって、手を、握ってほしくって。
涙でぼやけて良く見えない視界の中で、それでも必死に薬研は手を伸ばした。
顔はもう、くしゃくしゃだ。
ぼろぼろ涙は止まんなくて、ひくひくと、喉は痙攣して漏れ出す声をつっかえつっかえにしてしまう。
まるで、子供が泣きじゃくってるみたいに、薬研は顔をおでこまで赤く紅潮させていて。
ただ、審神者に触れたいと、触れて欲しいと、言葉にならない言葉であまえていくのだ。
そうしていつだって、どんなときだって。
この審神者は、そんなみっともない薬研に応えてくれるから。
「うあっ、ふうっ、ん」
大きな手のひらに、薬研の小さな手のひらは、包まれた。
そしてそのまま、ぐいと引っ張られて彼のしっかりとした首に腕を回させられる。
逆に審神者の手のひらは薬研の頭の後ろに回されていて、彼の首筋に顔を押し付けられるように抱きしめてくれた。
薬研は、口でこそ言わないけど。
でもひっそりと、この体勢が、だいすきで。
審神者に抱き着くのが、この首に腕を回すのが、だいすきで。
はふはふと息を漏らしながらも、なんでかやっと安心できた心地すら抱いて、思わず嬉しそうに微笑んでしまった。
なんでかわかんないけど、ふにゃりと、頬っぺたが動いてしまうのだ。
「は、はあっ、あ、!ッ、あ、あ、」
眼球が、溶けてしまうんじゃないかと思うくらい、熱い。
いや目だけじゃない、顔も、耳も、腕も足も、腰だって、どこもかしこも燃えてるんじゃないかと思うくらい煮えたぎっている。
審神者の摩羅が、薬研のナカの"くびれ"に引っ掛かる度に、堪らない気持ちでいっぱいになって。
その太い雁首が、抉る様に薬研を拡げていく度に、びくびくとみっともなく足が跳ねて悦んでしまう。
そう、薬研はとっくに限界なんて越えていた。
思考も感情も、とっくにどろどろに蕩けてるもんだから、どれだけ泣きじゃくろうが涎を垂らそうがもう恥ずかしくなんかなくて。
ただ目の前の人に、大好きな人に、子供みたいにくっつていは、もっと愛してと全身で縋り付く。
もっと自分を愛せと、絡み付くのだ。
「たいひょ、あぁううッ、ふぁっ、ひ、ひもひっぅあっ、あぁああ……!」
「ふ、は、うっ、」
「しゅごいっ、アっ、やぅっはあっ────ひィッい゛あっ!!?」
もうこのまま、解けていい。
そんな風にすら、思っていたのに。
なのに審神者は、今まで放ったらかしにしていた筈の薬研のものを、再度その大きな手のひらで握り締めたのだ。
しかも、最初みたいな戒めのためなんかじゃなくて、指で輪っかを作って、それで薬研の小さな摩羅を射精を促すように──いや、射精をさせる為に、扱き始めたのだ。
これには、もういっぱいいっぱいだった薬研は、為す術もなく更に追いつめられてるしかなくて。
金魚みたいにぱくぱく口を開いては、目を大きく見開いて。
まだ"許可"を貰ってないから、必死に必死に、耐えようと、いじらしくも耐え忍んでいるのに。
なのに審神者は、そんな薬研をいじめるつもりか、ぐりぐりと先端を親指で押して薬研の弱いとこを的確に攻めていくのだ。
そんなことされたらもう、薬研は息も耐え耐えで。
もう──もう、我慢も、限界が、近づいていて。
「ひっひィっ!?、も、やらって、あぁあ゛あっ、!ッやらっやら゛ぁっ、うぅう゛うッっ、いっひゃうううッ、いっひゃうひゃらぁあっ、ぁ゛っ、ア……っ、!」
ぶんぶん頭を振って、いやいやって、伝えるのに。
なのに審神者は、その手を止めてくれない。
その腰も、止めてくれる素振りはおろか、薬研を追いつめる為にまた動きはどんどん強くなってきて、気持ちよくって、どうにかなってしまいそうで。
──おねがい、やめて、ゆるして。
そう薬研が、口を開いた、時だった。
「────薬研、よく出来ました」
思いっきり、イっちゃおうね。
その声が、頭に届く前に。
その言葉を、ちゃんと理解する、その前に。
薬研の思考は──やっと手に入れられた快感に、足先から頭の天辺までどっぷりと漬かってしまったのだ。
「あ──〜〜〜〜ッぁあ゛あぁああ゛ああ…、……ッ…!!!」
薬研の身体は、足は、びくんと大きく床を蹴って、上へと跳ねる。
背中は勝手に弓なりに大きく反り返って、それでも逃がしきれない快楽に、受け止めきれない多幸感に、ぶんぶん頭を振っては必死に必死にやり過ごそうとするのだけれど。
でも、散々我慢をし続けて得た快楽を、身体はそう簡単に逃がそうとはしてくれないくて、呼吸と共に波打つ快感の渦に、薬研は身体の至る所を跳ねさせてはもがいていた。
もがくしかもう、出来ないでいた。
──なのに、それなのに。
「あ゛あぁあっ、ううぅっひっア゛っ、ん゛!!?っあうっ、あ、あしゅっ、あちゅ、いぃい……ッ、!!!!」
審神者は、目の前の男は、そんな薬研に更なる止めを刺すのだから、もうたまったもんじゃない。
最後に腰を強く奥に打ち付けたと思ったら、熱いその精液を薬研の最奥にブチ撒けたのだ。
ただでさえ正体を失っている薬研にとって、自らの糧でもあるその霊力の塊は、最早拷問でしかなくて。
問答無用で身体を満たしていく暴力的な霊力の熱量に、薬研は本日数回目のスパークを頭の中で弾けさせた。
「あ、あ゛っ!、あ゛あ〜〜〜っ、……!ぅあ゛、ぁーーっ、…!、どぴゅどぴってえ、いっ、いってえ、……ッ、あ、うぅっ、……!!」
「……ん、あ゛ーっ、」
ぐりぐりと、奥を捏ね繰り回すように押し付けられる。
薬研はもう脳味噌まで犯されつくされていて、舌を突き出しながら喉を反らしてよがっていた。
きもちい、どこもかしこも、気持ちが良くて。
なのにまだ止まらない痙攣に、ひくつく身体に、けれど薬研は審神者の身体に足を絡めて悶えるのだ。
快感が、足のつま先まで薬研の身体を犯している。
どこもかしこも、きもちくて、堪らなくて──幸せ、で。
すん、と鼻を鳴らす。
すると薫る審神者の甘い匂いに、汗の香りに。
薬研はうっとりと頬を染めては、顔を埋めて擦り寄るのだ。
今この時だけは、この男は、薬研のもので。
今この時だけは、薬研は、この男のものなのだから。
「は、はふ、あ……っ、あ……っッ」
ふるふると、腰が震える。
腰だけじゃない、腕も、足も、どこもかしこも震えてる。
それは明らかに薬研が限界を通り越えた証拠で。
段々と白んでいく視界にもう抵抗する気力すらわかないで、薬研はうっとりと瞳を細めて腹の底から溢れる多幸感にその身を任せていた。
不意に、ゆっくりと、大きな手のひらが薬研の頭をそっと撫でた。
無骨すぎる手のくせに、やけに優しいその仕草。
それがどうしてだか、愛しいとすら、感じてしまって。
薬研はするりとその手のひらにすり寄って、今度こそ意識を手放すのだ。
目が覚めたら、うんと労ってもらおう、だなんて思いながら。
溢れる幸福に、薬研はその身をそっと手放した。