アクゼリュスを消滅させておいて責任を認めようとしないルークを、ティア達は責めた。
しかし、ルークは、ヴァンが悪い・ティア達も悪いと言い続けた。
その為、ティア達は、ルークをまるで憎むように嫌った。
グランコクマでピオニーに謁見した彼等は、ルークを罰するようにピオニーに喧しく訴えた。
「ルークは人殺しなんだから、死刑にするべきだよね!」
「そうね。『目には目を』と言うし、そうするべきだわ」
アニスが言うと、ティアが同意した。
イオンは悲しげに、しかし、異論は無いのか何も言わない。
「…古代イスパニア法か? それで裁けと?」
頬杖をついたピオニーが、呆れたように言う。
「そうです!」
「ルークはレプリカなのですから、マルクトで裁いても問題ありませんわ!」
ナタリアが言うが、決め付けて良い筈が無い。
「ジェイドはどう思う?」
「陛下が決めるべきでしょうが…やはり、古代イスパニア法に基づいて死刑にするべきですね」
「…マルクトにも法があるのに、古代イスパニア法で裁けと?」
ピオニーは、失望の目をジェイドに向けた。
「マルクトの法律では、未成年は死刑に出来ませんしね」
「お前、古代イスパニア法がどんなものか知っているのか?」
「復讐を肯定する法でしょう?」
ピオニーは、あからさまに溜息を吐いた。
「導師はどう思われる?」
「…遺族の感情を思えば、死をもって償わせるしかないのではないかと思います」
ヴァンを責める事で己の責任を軽くしようとしたり、罪を犯した身でありながらアニス達を責めるルークに、イオンは失望していた。
「そうか。解った。では、特別に、古代イスパニア法で裁くとしよう」
ピオニーの言葉に、アニス達は勝ち誇る様な表情を浮かべた。
「ゼーゼマン、ルーク殿の罪は、古代イスパニア法でどうなる?」
「そうですな。先ず、アクゼリュスを消滅させたのがルーク殿であると、原告が立証しなければなりません」
「何言ってるんですか! ルークで間違いありませんよ!」
「では、お前等はそれを見たんだな?」
ピオニーに尋ねられ、アニスが答えた。
「私は見てませんけどー、イオン様が間違いないって」
「そうなのか?」
「はい。ヴァンがルークに、パッセージリングの側に行くように命じました。だから、間違いないでしょう」
「つまり、見ていないのだな?」
ピオニーがそう言うと、イオンは俯いた。
「…恐らく、超振動発動の衝撃波で吹き飛ばされて、頭を打ったのだと思います」
「では、ルーク殿が消滅させたかどうか、判らないのか」
「馬鹿な事を言わないでください。ヴァンは超振動を使えないのですから、ルークが消滅させたに決まっているでしょう」
ジェイドの言葉に、ピオニーは小指で耳を穿る。
「今、馬鹿に馬鹿と言われた気がするが、オレの聞き間違いか?」
「いいえ、間違いありませんとも。馬鹿だからこそ、陛下を馬鹿に出来るのでしょう。己が馬鹿である事も判らない程の大馬鹿者ですからな」
ゼーゼマンがそう答えると、ピオニーはジェイドに向かって嘲笑を浮かべた。
「で? お前は、何を根拠に、ルーク殿が超振動を使えると言うんだ?」
「アッシュが教えてくれました! 間違いありません!」
ティアが口を挟む。
「根拠は?」
「ルークはアッシュのレプリカですもの! 超振動を使えるに決まっているではありませんか!」
今度はナタリアが言う。
「アッシュが超振動を使うのを、目撃した事があるのか?」
「ありませんわ。ですが、アッシュがそんな危険な力を無暗に使う筈ありませんもの!」
「つまり、見た事は無いが、使えると言うので使えるに決まっていると?」
「そうです!」
ピオニーは、呆れたように嗤った。
「仮に、本当にアッシュが超振動を使えたとしても、レプリカの音素振動数は変わる。ルーク殿の方がオリジナルでない限り、超振動は使えないんだ」
「ルークは、完全同位体ですよ」
ジェイドが言う。
「証拠は?」
「コーラル城でディストの音譜盤を手に入れました。それは奪い返されましたが、解析した物があります」
「内容は?」
「完全同位体の研究です。ローレライと同じ音素振動数がありましたから」
「それが、ルーク殿の音素振動数だと、何故言える?」
ジェイドは苛立ちからか、眼鏡を押し上げた。
「コーラル城で、ディストから何かをされたようでしたから」
「音素振動数を計測したと何故言える? 計測したとしても、それがルーク殿のデータだと、何故言える?」
「バチカルでルークの秘預言を聞いたんですよ。ルークには、ローレライの力があると」
「それは、オリジナルであるアッシュの事だろう」
「ディストは同位体の研究をしていたんですから、ルークは完全同位体でしょう!」
ピオニーが納得しない事に苛立ち、語調がきつくなる。
「ジェイド…オレは、想像を語れとは言って無いんだがな」
「…音素振動数を計測すれば判りますよ」
ルークの音素振動数がローレライと同じと言う結果報告に、アニス達が勝ち誇った歓声を上げる。
「ルーク殿が超振動を扱える素質がある事は、確証した。では、次は、ルーク殿が超振動を己の意思で発動出来るという根拠を上げて貰おうか」
「え?」
「騙されて超振動を使うには、超振動を扱えなければ無理だ。扱えなければ発動しないんだからな」
ピオニーの言葉に、アニス達から得意げな表情が消えた。
「誰か、ルーク殿が譜術、又は、超振動を使った所、或いは、譜術の練習をしている所を目撃した者はいるのか?」
アニス達は、何も言えなかった。
「でも、現にアクゼリュスは消滅したんですから、ルークが超振動を使ったのは間違いありません! アッシュも、ヴァンがルークの超振動でアクゼリュスを消滅させるつもりでいると言っていました!」
ティアがそう声を上げるが、ピオニーは納得しない。
「それは、想像だろう? 証拠とは言えない」
「ルーク以外に誰が消滅させたと言うんですか!?」
「アッシュじゃないのか?」
「アッシュはそのような事は致しませんわ! それに、アッシュは、パッセージリングが消滅した後にセフィロトに来たのですから、機会もありません!」
そこへ、セントビナー住民の避難に向かったノルドハイムから、ディストを捕えたと言う報告が届いた。
「ディストが言うには、『ヴァンがレプリカに超振動の使い方を教えた事は、一度も無い』・『コーラル城でした事は、アッシュに頼まれた同調フォンスロットの開放で、これによってオリジナルであるアッシュはレプリカを操れるようになった』、『ヴァンは、疑似超振動発生装置の研究を行っていた』との事です」
報告を聞いたピオニーは言った。
「つまり、疑似超振動発生装置で消滅させた可能性があると言う事か」
「それはありません。ヴァンは、ルークの後ろにいました」
イオンが否定する。
「真後ろに?」
「…それは…」
「斜め後ろでした」
口を噤んだイオンの代わりに、ルークが答えた。
「なるほど。ルーク殿を消滅させずに、ルーク殿が使ったように見せかけられる位置にいたのか」
「でも、あの大きさでは持ち運びは無理です!」
ティアが声を上げる。
「何故、ヴァンが密かに研究していた疑似超振動発生装置の大きさを知っている?」
「ヴァンの企みを探っていた時に、丁度実験していたからです」
「それは、何時頃の話だ」
「去年です」
「ディストは天才だからな。半年もあれば、小型化出来たかも知れん」
「ところで」と、ピオニーはティアを睨む。
「お前は、去年からヴァンの計画を探っておきながら、何故、アクゼリュスの消滅を阻止出来なかった?」
掲載日:2012.03.29
元ネタは、バビロニアのハンムラビ法典です。
そのものではありませんので。
ガイのカースロットイベント無し。
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