「譜歌で眠らせたって?!」

 ルークから、ティアと一緒にいる経緯を聞いたレオンは、驚愕に声を上げた。

「何でそんな事したんだよ!」

 ティアを振り向いて怒鳴る。

「…何かおかしいかしら? 巻き込まないように眠らせたのよ」
「巻き込まないように?!」
「ええ」

 ティアには、レオンが怒りの眼差しを向ける理由が判らなかった。

「お前、ナイトメアがどんな譜歌か解ってるのか?!」
「当たり前じゃない!」

 侮辱されたと思ったティアは、レオンの嫌悪の表情に怒りを抱いた。





「雑魚が出てくんなよ!」
「調子に乗らな」
「エナジーブラスト!」

 何時ものようにルークに釘を刺そうとしたティアは、譜術を喰らって倒れた。

「なっ?! 何やってるんだ、レオン!」

 振り向いて怒鳴ったガイは、魔物の突進を喰らった。

「何って、ティアが魔物との戦いに巻き込まれないよう、ぶっ飛ばしてやったんじゃねーか」

 レオンは、罪悪感が見られない表情でそう答える。

「ふ…譜術で攻撃するなんて、何を考えているの!?」
「お前と同じ事?」

 謝罪しないレオンに、ティアは益々怒りを募らせた。

「訳の解らない事を言わないで、謝罪したらどうなの!?」
「ごめんなさい! じゃあ、さっさと構えて戦え!」
「…戦わせるんなら、巻き込まないよう吹っ飛ばしたのは何だったんだ?!」

 戦いながら、ガイが怒りを抑えて尋ねる。

「何言ってるんだよ。戦う力がある人間が戦うのは当たり前だろ?」
「だったら、さっきのは何なんだって聞いてるんだ!」

 訳の解らないレオンの言い分に、ガイが怒鳴った。

「…優しさ?」
「譜術で攻撃する事の何が優しさだ!?」
「そうよ。悪意しか感じられないわ!」

 ティアはそう言うと、詠唱を始めた。

「危ない!! エナジーブラスト!」

 再び、レオンがティアに攻撃した。

「キャア!」
「いい加減にしろ、レオン!」
「何だよ…魔物の攻撃を受けないよう、ぶっ飛ばしてやったのに!」





 魔物との戦闘が終わり、ティア達はレオンを責めた。

「あー…つまり、『巻き込まない為に譜術で攻撃するなんておかしい』、『悪意に満ちた行動にしか見えない』って事?」
「当たり前じゃない!」

 ティアの断言に、レオンは嘲笑を浮かべた。

「じゃあ、お前もそうだな」
「…どういう意味?」

 レオンのような異常な言動などした覚えが無いティアは、思い当らなかった。

「『エナジーブラストに匹敵する威力がある』ナイトメアで、ルークの家の人達を『攻撃した』んだろ? 『巻き込まない為に』」
「…え?」

 ティアは、直ぐには理解出来なかった。
 攻撃なんてしていないと言おうとして、『エナジーブラストに匹敵する威力がある』と言われた事を思い出す。

「わ…私…知らなかっ」
「『ナイトメアがどんな譜歌か解ってた』んだろ?」

 それは、戦闘前のレオンの質問。

「お前は、ナイトメアが、『エナジーブラストに匹敵する威力がある』『攻撃』譜歌と知っていて、『巻き込まない為に』『民間人を含む』『無関係な人間』達を『攻撃した』んだよな?」

 ルークに、『貴方には関係無い』と言った。
 『軍人には民間人を守る義務がある』とも言った。

「警備の騎士達は兎も角、民間人であるガイを含む使用人達やルークやルークの母親は、『譜術防御力が低くて命を落とす可能性もある』と解っていただろう?」

 ティアは蒼褪めて俯いている。

「危険性も解らず使用していたなんて、『軍人』なんだから、有り得ないよな? 習う筈だし」

 ティアは、自分がした事の残酷さを知って震えた。

「ところで、『戦いに巻き込まないよう譜歌を歌った』のに、ルークを『魔物と戦わせた』り、『神託の盾騎士団とマルクト軍の戦いに巻き込んだ』のは、何なんだ?」

 ティアは、何か言おうとしたが声が出て来なかった。

「戦場だからとか、戦う力があるからなんて言わないよな? 『巻き込まないよう』にしておいて『巻き込んでおきながら』。それともまさか、ルークが眠ってないのにヴァンに襲いかかったのは、『ルークには戦う力があるから巻き込んだって構わない』からだったのか?」

 ガイは、庇うべきか悩んでいた。
 ティアには悪気は無かったんだろうと言いたい。
 でも、レオンに、『巻き込まない為に攻撃するなんておかしい』し、『悪意に満ちた行動にしか見えない』と言った。
 これでティアを庇えば、『女性ならば、巻き込まない為に攻撃してもおかしくない』になってしまう。





「自分がどれだけおかしな事をしたか解ったか? じゃあ、行こうぜ。ああ、安心しろよ。これからも、お前が詠唱中魔物に攻撃を受けないよう、エナジーブラストで攻撃してやるからさ」

 レオンは嘲笑する。

「被害者であるルークやガイ、階級が高いジェイドや導師であるイオンに、お前なんかを守らせる訳にはいかないからな」




掲載日:2011.08.09

この後ティアは?

1.エナジーブラストで攻撃されまくり。
2.譜術・譜歌を使わずに戦う。
3.ジェイドに犯罪者として扱われ、前衛に出される。
4.逃亡する。
5.追い詰められてレオンを刺す。

のどれでしょう? 一番可能性が高いのは、4でしょうね。
ヴァンの企み知って士官学校からユリアシティに無断で帰ったティアなら。
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