シュザンヌに帰宅の挨拶をしたルークはレオン達と合流し、玄関ホールへと移動し、執事とメイドの会話を耳にした。

「くれぐれもこの事を、お坊ちゃまに知られぬようにな」

 ルークが声をかける。

「オレに何を隠しているんだ?」

 問い詰めると、ヴァンから預かっていた奥義書を誤って売ってしまったのだと言う。
 ただの古本だと思って旅の行商人に売った後で、預かり物が無い事に気付いた別のメイドが尋ねて判ったのだそうだ。
 急いで買い戻そうと思っていたのか、ラムダスが用意しておいたガルドを、追いかけると言ったルークに渡す。

「それほどの大金が必要になるとは思えません。多過ぎます」

 ティアがそう口出しし、何故かラムダスはそれに従い金額を減らした。
 行商人が払った金額なのか、それだけふっかけられると思ったのか判らないが、ティアに言われて減らすとはどういう事だ?
 ティアがこういった物の適切な値段を知っていて、不当に高かったら値切ってくれるとでも思ったのか?



 港に向かう為に走り、天空滑車に乗った。

「おい、ティア。足りなかったら、勿論、お前が出すんだよな?」

 レオンが尋ねる。

「どうして、私が?」
「お前が、態々馴れ馴れしく人の家の事に立ち入って、ガルドを減らさせたんだろうが! 足りなかったらお前が払うのが筋だろ! 払う気もねーなら無責任に口出しすんな!」

 レオンに責められ、ティアはカッとなった。

「たかが本がそんなに高い訳無いわ!」
「知ったかぶりが! 奥義書が安い訳あるか! 好事家なら何万ガルドだって出すわ!」

 「そうだよね〜」とアニスが呟く。



 行商人を見付けたが、三冊は既に好事家に売れた後だった。

「くそ…捜して買い戻さないと」

 悔しそうにルークが呟くと、ガイが尋ねた。

「買い戻すって資金はどうするんだ?」
「ティアが出すんだろ」

 すかさずレオンが言う。

「15万ガルド貰っておけば良かったのによ! お前、まさか、余ったら、ルークが自分の懐に入れるとでも思った訳か?!」

 黙って俯いたティアを気の毒だと思ったのか、ルークが言った。

「父上か母上に頼むか…」
「そんな事をしたら、メイドの失敗が旦那様達の耳に入って、下手をすればクビになるぞ」
「自業自得だろ。処分して良い物か確認もせずに決め付けて売り払ったり、預かり物を、処分するかもしれない物を入れておいた倉庫に置いたりしたんだから」

 レオンはそう言うと、ティアに言った。

「でも、ティアがあの人――ラムダスだっけ?――に頭下げて、さっきの残りのガルド貰えば良いか」





「お帰りなさいませ、お坊ちゃま。無事買い物戻せましたでしょうか?」
「一冊はな。でさ…」

 チラリとルークがティアを見る。

「ほら、さっさと言えよ」

 レオンがティアを肘で小突いた。

「…言えって!」

 ティアは俯いて何も言えない。

「ま、まあまあ、レオン…仕方ないじゃないか。金の事なんだから」
「減らす方には口出しておいて、か?」
「それは…ティアは、良かれと思ってやったんだからさ」
「それを何て言うか解るか? 『独善』って言うんだよ」

 ガイが黙り込むと、レオンはティアに言った。

「お前はルークを送る間、ルークに色々と『教育』してたよな? まさか、そのお前が、間違っていた事を認めて謝罪して、改めて貰えるようお願い出来ないなんて無いよな?」

 ティアは蒼褪めて後退る。

「さあ、責任取ってお前が言うんだ。オレ達は、お前の為を思って甘やかさないからな」

 カッコつけて言った手前恥ずかしくて言えないティアは、こっそりとガイ達を窺ったが、ガイは気まずげに視線を逸らし、アニスは楽しそうに「頑張ってね」と手を振り、イオンはティアが言えると信じているのか見守る表情で、ジェイドは奥義書なんてどうでも良いといった感じで傍観している。

「ほら…早く言わないと、待っている執事さんが気の毒だろ? さっさと言えよ!」



 数分後、ティアに失望の視線を向けると、ルークがラムダスに足りなかったと言った。





 その後、親善大使に任命されたルークに同行する事になったティアは、その事を忘れたかのようにルークに相変わらず偉そうに説教をしたりしたが、勿論、軽蔑の視線を向けられるだけで、ルークがティアの言う事を聞く事は無かった。




掲載日:2011.08.08

これ、何の為にティアに口出させたんでしょうね?
すんなり買い戻せないイベントにする為なら、
最初から、差し出す金額が少なければ良いだけだし。
ティアは金銭感覚がしっかりしていると言う表現なら、
足りないのは逆効果だし…悪いのは行商人と好事家ですって事か?
ティアアンチのスタッフが作ったのかな?
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