図書館とシュタープ取得(3)

おまけ


「其方がそんなマメに木札を返すとは思わなかったな」

ローゼマインからの報告書に目を通していたフェルディナンドが新たな木札を取り出したので、つい声を掛けてしまった。

案の定、じろりと睨まれる。

「必要な指示があるから返しているだけだ。其方こそ毎日届くシャルロッテの報告を読むだけで一向に返していないが、返事がないと拗ねられても知らんぞ」
「シャルロッテが拗ねるわけなかろう!それに一度は返したではないか」

帰ったらお父様のフェシュピールを聞かせてくださいと書いてあったのだ!何曲でも聞かせよう、と返事したのだぞ。

「あんな個人的な話ではなく、他領との付き合い方についての方が本題なのではないか?」

それを聞かれるとツラいな・・・。私も中領地で真ん中の順位の経験しかないのだ。上位領地に言われたことには粛々と従う以外の付き合い方などしたことがない。

『上位の領主候補生より好成績をとってしまいました。領地に影響はありますか?』などと聞かれても分からぬではないか!

「其方の方が詳しいだろう。学生時代ずっと最優秀で妬まれなかったのか?」
「あの頃は、傍系の王女やベルケシュトックの領主候補生が庇護してくださっていた。シャルロッテ達も上位領地の領主候補生と上手く関係を築ければ良いのかもしれんが・・・」

報告書によると、4位のギレッセンマイアー、5位のハウフレッツェと交流を持っているようだが、まだ庇護を受けるほどではないだろう。
今はシャルロッテの社交力を頼りに、手探りで頑張ってもらうほかない。こんな父ですまぬ。

「兄姉も社交ではあてにならんし、シャルロッテ様は苦労するなぁ」

カルステッドが呑気な発言をするが、姉とは其方の娘のことだぞ!


・・・気を取り直して。

「アーレンスバッハについては、進展があったのか?」
「シャルロッテの側仕えが聞いた話によると、今年卒業する領主候補生に婿入りの打診をしているようだ」
「なんだと!?」

てっきりヴィルフリート狙いと思っていたが、六年生に打診だと?

「だが、卒業前に婚約者がいない領主候補生などいるか?」
「いないだろうな。結果は芳しくないようだ」
「だろうな・・・」

しかもそれが噂として他領に流れている状態だ。迂闊にも程があるだろう。

「アーレンスバッハのアウブは健康状態に不安があるのかもしれん。妙な焦りを感じる」

フェルディナンドの推測に、その可能性はあると一考する。父上の時もそうだったが、不調を自覚すると崩れるのはあっという間だ。焦りもするだろう。

「卒業まで数年かかるヴィルフリート様より、今すぐ執務の代行ができるフェルディナンドの方が狙われるのではないか?」
「そんな話がきても、私は絶対にアーレンスバッハへは行かぬぞ」

カルステッドの軽口に、フェルディナンドは恐ろしく真剣な声で返してきた。

「・・・冗談だ。そんな恐ろしい顔をするな」
「フェルディナンドを他領になど、考えられん!絶対に断るから安心しろ」
「・・・頼りにしてるぞ、ジルヴェスター」

任せろ!



そんな話をしていたのだが、この後、私は自分の役立たず振りを思い知ることとなる。

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