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愛=煩悩
01
「絵梨。久し振りだね。」
「うん、元気だった?お父さん。」
「もちろん。絵梨も元気そうでよかった。」
「ありがとう。まぁちゃんもちゃんとご飯食べてる?」
「私より、りぃちゃんの方が心配だよ!」
それぞれの都合でバラバラになっていた家族が揃うと、互いに目を三日月にして近況報告会が始まった。
冒険家の日向麟太郎は、世界を飛び廻る毎日を過ごしている。
そんな彼には娘が二人。
大学生の絵梨と高校生の絵麻。
『りぃちゃん』『まぁちゃん』と互いに呼んで協力して過ごしていたのだが、大学の都合で絵梨は少し離れたところに一人暮らしをしていた。
極力週末は妹の元に戻るようにしていたが、必然的に絵麻も一人暮らしに近い状態になってしまっていた。
姉として心苦しい。
そんな絵梨を絵麻はとても慕っていた。
「それで、パパ。どうしたの?急に改まって、話なんて。」
絵麻が少し緊張しながら聞く横で、絵梨も首を傾げて麟太郎を見る。
「ああ、実はな。2人に会ってもらいたい人がいるんだ。」
「うん…いいけど?お父さんの知り合い?」
「まあ…知り合いというか…あの、な。父さん、再婚したいと思ってるんだ。」
「さ、再婚!?」
急な話に驚く2人だったが、それぞれきちんと考えて応援しようと決めた。
それから麟太郎の相手である朝日奈美和と会食の場を近い日に設けた。
美和は大手アパレルメーカーの社長で、明るく優しくとても華やかな人物だった。
「ああ、やっぱり女の子ってかわいい!私の子供は男ばかりなの。女の子がずっと欲しかったんだけどね。」
「そうなんですか?」
「麟太郎さんもこんなかわいい子を2人も残してしまって心配よね?そうだわ!私の子供が住んでるマンションにお引越したらどうかしら?」
「は…い?」
「ああ、それはいい!」
「ちょっ…ちょっとお父さん!いきなり2人も押しかけたら迷惑でしょう?」
「あら、そんなことないわ。親の私達があまり家にいられないのだから、逆に申し訳ないぐらいだわ。ねえ、麟太郎さん?マンションに引っ越すということでいいわよね?」
「そうだね。美和さんのご家族さえよければそうさせてもらおうか。どうかな、2人とも?」
「どう…って…」
互いに顔を見合す絵梨と絵麻だったが、美和の勢いに押されて承諾してしまった。
それからトントン拍子に話は進み、それぞれの家から彼女達の荷物は運びだされた。
2014.09.04. UP
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夢幻泡沫