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con amore

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「ママ、ピアノ弾いて!」
「ピアノ?曲は?」
「『ラ・カンパネッラ』!!」
「それは私よりパパに頼みなさい。リストはパパの演奏が一番よ。」
「おい、言いすぎだぞ。」
「そんなことないわ。私はあなたの『ラ・カンパネッラ』が一番だと思っているんだから。」
「まったく…コイツらの前だぞ。少しはこっちの身にもなれよ。」
「あーっ!パパが照れてるー!!」
「うるせえっ!弾いてやらないぞ!」
「私も聴きたいわ、あなたの『ラ・カンパネッラ』。」
「…仕方ねえな。」
「ホント、パパってばママに極甘だよねー。」

聴こえてきたのはダイナミックでありながら繊細な鐘の音。
切なくも甘い、泣きたくなるような旋律。
ピアノを、音楽を…愛する人を大切にしているのが瞬時に分かるような温かみのある音色。

「…好きですよ、土浦先輩。」
「あのなあ。お前も土浦だろ、静香。」
「ふふっ、そうでした。」
「愛してる…静香。」
「…はい。」


2016.09.12. UP
→あとがき




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夢幻泡沫