03.お手をどうぞ、閻魔様

危険のない人生なんてつまらない

確かそんな話を聞いたことがあったけど…

オレは、この平和な村で住めるなら別に危険なんて必要ないと思ってた。

それは今も、これからもきっと変わらない。


変わるとしたら昨日ちょっとした事件がこの村で起きた事かな

だってそうだろ?絶壁の崖に、女の子が引っ掛かってたんだ。

第一発見者はオレだったんだけど、本当に吃驚したよ


顔色が悪くて、村長の家で少し様子を見ると、その子は目を覚ました。

まるで何処かで語られる童話の眠り姫のように綺麗に眠ってたから…一瞬、もう駄目なのかとも思ってたんだ。

その子は無事目を覚ましたけど、何故自分があんな所にいたのかも分かってないらしい。

まだ素性も知れてない子だけど、疲れているだろうから昨日はそれ以上聞くことはできなかった。

暫くオレの家で休養という様子見をする事になったんだけど…

初めて会った君に、オレは何をしてあげれば喜んでくれるんだろうか?


まだきっと、作りものの笑顔を見せる彼女に

心の底から笑ってもらいたいと、オレはそう思った。






お手をどうぞ、閻魔様






―――チチチッ


「、ぅ…う〜ん……」


朝になったのか、直ぐ頭下にある窓から晴れ晴れとした太陽の光が顔を直撃。
起きなくちゃ…今、何時?学校に行かなきゃ…


「…うん?」


時計を探す為に枕許に手を伸ばすと、ごつごつしたものが当たった。
不審に思い、眠たい目をこじ開けて頭下を見ると…それは木の角材。先ず私が住んでた所で、こんなのありえない。


「……ッ!」


ガバッ!

勢いよく飛び起きた事で、昨日の嘔吐感が体の中で這い回った。思わず倒れそうになる体を何とか持ちこたえ、口を手で覆ったまま横に視線を移した。

変わった形で切り取られた窓から、コンクリートが一つもない大自然の緑が悠々と風に流れているのが見えた。
時折聞こえてくるのは山羊の声…


「あー、そうか…。昨日、よく分からないところに来たんだわ…」


溜息をついて頭を掻きながら昨日のことを思い返した。

最初は携帯から変なものが出てきて、それに引きずり込まれて
それから砂漠の中の建物の夢を見て、起きたら知らない人たちがいて…
そして気がつけばこの村でお世話になることになり、村の青年の家にお邪魔することになり…と。ホント昨日から不思議な事が起こり、続いてばかりだ。

なんだかなー…、…?


「あれ…そう言えば、昨日の人は?」


金髪碧眼という外人ならではの特色を持った人。この家の当主でもあるんだけど…
私がいる2階から覗き込むように下を見ると、昨晩彼が寝ていたソファは既に蛻の殻状態。
実は昨晩、ベッドが1つしかない為に暫くは2人で譲り合いをしていたのだ。けど、彼――リンクは全然引かなくて、渋々ながらも私がベッドを使わせてもらったわけである。


「(寝顔を拝む事ができなかったか…。まあ昨日の夜、十分堪能したからいいんだけどね)」


そう、ちゃっかりと私は昨日の夜、リンクが眠った後に上から彼の寝顔をウォッチングしていたのだ。我ながら見事な腐れっぷり(キラリ)


「私もそろそろ起きなきゃ…」

「おーい、リンク〜〜!!」

「(!?)」


さあいざベッドから降りよう、とした時、外から大きな声が響いてきた。
直ぐ近くにある窓、恐る恐るとそこから外を覗くと…大柄な男の人がこっち向いて呼んでいた。恐らく、いつも彼がココで寝ているから私と勘違いしてるんだわ。ま、まずい!
思わず サッ!と身を隠してしまい、勿論その可笑しな動きは呼んでいる人に不審がられた。


「リンクー?何隠れてんだ〜!?」

「(あ、いや、私はリンクじゃないんですけど…!?)」


ど、どうする私!どうする!?(某CM)
この地味な危機をどう回避すればいいんだッ。いっその事出てしまうか?
そう頭の中でこれからのプランを立てていると、何処からか草を踏む音が…


「あれ?ファド、どうしたんだ?」


救世主様ぁぁぁぁぁ!!あれ、昨日から救世主様に廻りあいすぎじゃないのか私!?
同じく外から聞こえてきたのは、間違いなくさっきまで私が探していた張本人のもの!
ファド、とか呼ばれた男の人がリンクの声に気づいてそっちに行ったのが見えた。その光景を見て、思わず肩の力が抜けた。

あ、朝から波乱万丈だよ、全く(汗)






「あれ?リンクじゃないか!じゃあ、今家にいたのは…?」

「ああ、黒髪の女の子だろ?昨日村にやってきたんだけど、暫くの間オレの家で様子を見ることにしたんだ!」

「黒髪?……?」

「それで、ファドはどうしたんだ?何か、用があって来たんじゃないのか?」

「あ、ああそうだ!山羊追いを頼もうと思ってな。もう直ぐ餌をやる時間だから、頼むよ」

「オレに頼むってことは、また山羊達が言うこと聞かなかったのか?」

「そうなんだよな〜。なんであいつら、飼い主の俺じゃなくてリンクの言うこと聞くんだよ…」

「あっはっは!分かったっ、さっきの子と一緒に来るから先に行っててくれよ」

「よし、分かった!」


ファドからの了承を得て、リンクは手に持っている手綱を引いて家に向かった。手綱に繋がれた先にいる馬は、大人しくリンクについていく。

家へと向かって小さくなっていくリンクの後姿を見つめ、ふとファドは分からないと言うように顎に手を掛けた。


「しっかし可笑しいなァ…俺が見た時には、金色の髪の毛が見えた気がするんだけど…?」







***











―――ガチャッ


木で作られた扉が突然開き、丁度梯子を伝って下に降りてきた私はすぐさま扉へ顔の向きを移した。
入ってきたのは勿論リンクで、一言二言外にいる誰かと言葉を交わし、扉を閉めた。


「あ、おはよう!よく眠れた?」

「おはようございます。ばっちり寝られました!」


寧ろベッドについた貴方の香りで興奮してました。
…とは流石に言えないし。勿論とでも言うように首を縦に振って返事を返した。
すると、何故かリンクは苦笑してこちらを見てきた。
…あ、あれ?私何か失態犯したっけ?こんな美形に引かれるのだけは勘弁したいんだけどなぁっ!!(汗)


「舞ってさ、歳いくつ?」

「………ぅえ?


予想していたのとは違う返答に思わず失礼な態度をとってしまった。
何故に突然。しかし急な質問とは言え、御世話になっている身分としては無視するわけにはいかない。


「えーっと…一応17です」

「なんだ、オレとタメじゃないか!じゃあさ、敬語なんていらないんじゃないかい?」

「え?あ…」

「昨日からずっと、一歩身を引いたような関係だからさ。ずっと気になっていたんだ。君さえ良ければ普通に話してくれないか?」


もうこの村の仲間、家族なんだからさ。そう言って柔らかく笑うリンクに呆けてしまった。
この人は、急に家に押しかけた女を、突然村に来た女を『仲間』と呼んでくれるのか?
確かにこちらとしては有り難いことだ。けど…、あちらとしては大丈夫なのかな。
だってほら、こんないかにも怪しい女を自由身勝手にさせるのはちょっと…。あ、でも、そう考えてちゃ範囲が広すぎるか


「な?」

「えっ。えっと、じゃあ…分かった。リンク、さん」

「リ、ン、ク」

「お、おうっ。リンク!」

「よし!」


ぐっ、と親指つきで返事を返すと、リンクもニッと笑って親指を立て返してくれた。
な、何この人!カッコいいのに可愛いだと…!?
一人(心の中で)闘絶していると、リンクが思い出したように手を打った。


「そうだっ。起きたばかりで悪いんだけど、これからオレと一緒に着いて来てくれないか?
やらなきゃいけない事があるんだ」

「やらなきゃいけない事…?」


やらなきゃいけない事というのは、きっとさっき外で一言二言話していた事が関連してるんだろう。
別に断る理由がない訳だから全然構わないんだけど…つか美形の頼みを断れません!

つまりオッケーだという事で、またも私は首を縦に振った。
それに、良かった、と微笑んだリンクはさっき閉めたばかりの扉をまたもや開いた。

そして顔だけ後ろに向かせて、笑顔と共に手を差し伸べてくる。


「じゃ、行こう!」


ど、何処までも着いていきやすぜ旦那ッ(※鼻血出てますよ)






**




++inトアル村++



「あら?舞!それにリンクも、おはよう!」


道端にある大きな岩を避けながら道を誘導してくれるリンクに着いて行くと、村の集落に辿りついた。
ぐるりと一度見渡すだけで終わってしまいそうな小さな村の一角で、昨日見た少女がこちらに向かって手を振って駆けてくる。イリアだ!


「おはようイリア!」

「良かったっ、昨日よりは元気になったみたいね!顔色が幾分明るいわ」

「本当?」

「うん!」


自分のことのように喜んで手を握る彼女に嬉しくなった。
ありがとう、と笑ってお礼を言うと、イリアは顔色を変えて耳元に口を寄せてきた。


「で、昨日はリンクに何か変なことされなかった?」

「え?べ、別に…何も?」

「本当に!?実は舞が寝ている間に顔s「あー!」とか暗い所に押し込められて強k「いー!」とか、あわよくばナニを「うー!えー!おおぉぉぉ!!」とかっ、なんちゅーことすんだ!的なことされなかった!?」

「ぜー…!はー…っ!!寧ろイリアがなんちゅーこと言ってんだぁぁぁっ!!朝っぱらから目覚めに悪いよ、その単語の応酬はっ!!


貴方のその可愛い顔から卑猥な発言が連呼されるなんて夢にも思わなかったっ。てか思いたくなかったよ!
イリア、舞のことが心配だったの…!」と大きな瞳を潤ませて言ってくるのは嬉しいが、さっきから視界にちらつく貴方の腰に刺さっている凶器が恐怖だけ駆り立てるのですよ。

ひくつく口元を隠していると、さっきの私の大声を聞きつけてリンクが首を傾げながらやってきた。


「どうしたんだ、舞?随分叫んでるけど、何かあった?」

(めっちゃあったけどね)なっ、ナニモ☆」

「そう?ならいいんだけど…。あ、イリア!オレ、これからファドに頼まれて山羊追いしてこなきゃいけないんだ。だからその間、舞を見ていてやってくれないか?知ってる人の方が返って安心するだろうから」


ポン、と私の背中にリンクの手が置かれた。彼に頼まれた相手、イリアはその願いに喜々とした笑顔で頷き、私の腕に自分の腕を絡めた。


「勿論いいわ!さっ、リンクはもう行っていいよ。ファドも待ってるだろうし!てか行けv

「(容赦ねえな)」

「ああ、頼んだよイリア」

「(そんでもってこっちは鈍感ーーーっ!!)」


「じゃあ舞、終わったら迎えに来るから!」と手を振りながらリンクは村の奥にある、斜面になっている坂へ向かって走っていった。
そうすると必然的にこの場には私とイリアしか残らなくなる。リンクの姿が見えなくなると、イリアがガッツポーズを作った。


「よしっ、やっと邪魔者が消えたわ!」

「じゃ、邪魔者って…。彼は私の命の恩人なんだから、そんな言い方しちゃ悪いわよ。ね?」

「そっか…。そうだよね、リンクが舞を助けなかったら、今この瞬間のラブコメはなかったんだもんね」

「(ラブコメって何)」

「うん、分かった!じゃあ邪魔者改め召使いってことでv」

Σそれはランクが上がったのか!?下がったのかっ!?


ああっ、駄目だ。イリアの発言にどんどん着いていけない…!
くらり、とふらつきそうになる体を何とか正常に保つ。イリアは、相変わらず私の腕にひっついてにこにこと笑ったままだ。


「おお、イリアじゃないか」


すると突然、話している私達に影が差し掛かった。
村の小さな川の近くで話していた私達からすれば少し上になる小さな橋から、細身の男性が覗き込むようにこちらを見ている。
私は知らない人に疑問を抱くが、イリアは知っているのか笑顔を作った。


「あ、モイさん!おはようございます」

「ああ、おはよう!イリア、と…そっちが昨日言っていた子だな?」

「うん。あ、紹介するわね!彼はモイさんって言って、あたしの家のお向かいに住んでるの。
村で二番目に凄い剣技を誇るんだよ!」

「へぇ…。あ、初めまして!私、舞って言います。昨日からこの村でお世話になっていますっ」

「やあ、初めまして。改めてモイだ、よろしくな」


差し伸べられた手が握手だと理解して手を絡ませる。優しそうな雰囲気を纏っていたが、どうやら正しかったようだ。

その応答に満足して手を離すと、入れ替わるように後ろから女性が歩いてきた。


「貴方、そろそろ朝の稽古の時間じゃない?」

「おお、もうそんな時間か。分かった」


モイさんは踵を返し、今きた女性と一言二言話す。イリアと一緒に事を終わるのを待っている間、女性の後ろに隠れているおかっぱ頭の子がじっとこちらを見つめていた。
その視線に気づいた時には、モイさんが女性を連れてまたも近づいてきた。


「舞、君に紹介しよう!こっちは妻のウーリ。それとこっちが子どものコリンだ。
よろしくやってくれるかい?」

「はい、勿論です。是非」

「初めまして、ウーリよ。まだ来たばかりで不慣れなところもあるでしょうけど、何かあれば私達も力を貸すわ!これからよろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします、ウーリさん!」

「ほら、コリン。お前も挨拶しなさい」


モイさんに背を押され、今までウーリさんの背に隠れていた男の子が私の目前に出された。
リンクと同じ金髪に碧眼を持つ少年は、小さな体を震わせていた。
ほんの僅かな間だが、その幼い体の様子を見てどんな性格か悟った私は、自らしゃがんで少年と目線の高さを合わせた。


「こんにちは。私、舞っていうの、よろしくね」

「…こ、こんにちは……。僕…コリン、です…」


それだけ言うと少年、基、コリンは返事を返す前にまたウーリさんの背中に隠れてしまった。それを見て呆れて溜息をつくモイさん。
私はと言うと途端に逃げられたショックで固まっていた。見事に、コキーンと。


「(に、逃げないでー…)」

「すまないな。コリンは人見知りが激しくて人付き合いが苦手なんだ。
嫌われてるわけじゃないから、見逃してあげてくれ」


勿論、というように私は口元を緩ませ頭を下げた。モイさんも嬉しそうに笑い、イリアと私の頭をポンポン、と叩くと身を翻した。


「それじゃあ、また後でな!これからもよろしく」

「失礼しますね」

「さよなら…」


モイさん一家は一礼すると家の方向へ向かっていった。その時にコリンが後ろを振り返り、またじっ、とこちらを見てきた。
今度はそれに早く気づき、私は一瞬だけ悩み手を振ってみた。
コリンも驚いて目を大きく開いたが、小さく控えめに振り返してくれた。


「モイさんは結構外に出るから、知識が豊富なの。何か聞きたいことがあったら、モイさんに聞くといいよ!」

「本当?ありがとうイリア。そうするわ!」


イリアのアドバイスを受け、首を縦に振る。
この村は、村が長閑なら住んでいる住人の人たちまでも長閑な場所だ。
なんだか、今朝に聞いたリンクの言葉にも納得がいく。こんな村にいれば嫌でもいい人になりそうだ。

それにしても…ハァ…。今までずっと考えることすら忘れていたけど、一番重要なことを忘れていた。
このトアル村って一体どこの国の村だろう?未だに国の所在地とかが分からないんだけど…。

リンクやイリア達を見る限り外人っぽいけど、でも言葉が通じてるからそんなわけでもなさそうだし。第一、未だに日本人特有の黒髪黒眼を一人も見ない。
イリアのアドバイスをもらって早速だけど、さっきモイさんにここら一帯の地理について話を聞けばよかった…「いてっ。馬鹿、押すなよ!」

…………ん?


「誰が馬鹿よ〜…!それよりタロ、もっと姿勢低くしてよ。全然見えないわ!」

「…邪魔…」

「っるさいな〜。三人も隠れりゃこれが妥当だろ!?」



どこだろう…なんだか、凄く幼い声が三つ分聞こえてくるんだけど。
きょろきょろと視線だけ動かしてみると、一瞬、大岩の影に小さな影がちらりと覗いた。
身を寄せ合って縮こまる影はほんの少しだけ顔を覗かせてこちらを見ている。居た。


「(あの子達、この村の子かな。話したいな、ショタ好きだから…じゃなくて。親近深めておきたいし。
何にせよ、私から近づけば逃げられるだろうから…ここは一先ず)ねェイリア、ちょっとその辺り歩いてみない?」

「えっ、それってデートのお誘い!?


こんな小さな村でデートもへったくれもあるかーーーっ!!
とりあえず頷くと、イリアは嬉しそうに笑った。「じゃあ行こっか!」と手を引いて歩き出すイリアに私も歩調を合わせる。
すると、移動したことに気がついて小さな三つの影が慌てて飛び出す。きっと何処かへ隠れながらこっそりと尾行する気なんだろう。

視界の隅で三つの影が大岩から飛び出して次なる隠れ場所を見つけようとした瞬間、振り返る!


見つけたァァァっ!!

「Σうわぁぁっ!?」
「Σきゃっ!」
「Σうっ」



体を180度旋回して、ビシィ!と指を指して振り返ると、気づいてるとは思わなかったのか、小さな影が三つ同時に肩を跳ね上げて驚いた。
よし、うまくいった!密かに喜ぶ私とは対に、歩いていた足を止められたイリアは小さな影を見た途端目を開いた。


「あら、タロじゃない。それにベスマロまで…どうしたの?」


タロとマロとベス。この、今イリアから告げられた三つの名前。きっと彼らの名前でしょうね。
一体どれが誰の名前かは分からないけど、一人だけならなんとなく分かる。
あのまろ眉の子、多分あれがマロだな、うん。分かりやすい。

イリアに指摘された三人は少しこちらに近づいてくる。
その中でも一際元気がありそうな男の子が口を開いた。


「昨日、リンクが連れてきたって言う人を見てみたかったんだ!」

「ああ、舞のことね。やっぱりタロ達ももう聞いてたんだ」

「うん!だってその人、リンクが攫ってきた愛人なんだろ?」

Σ愛人んんんんっ!?


こ、この私が!?あの麗しの美形リンクのっ!?しかも攫ってきたって印象最悪じゃねぇかーーーっ!!(滝汗)
叫びそうになる前に、男の子の後ろにいた女の子が身を乗り出してきた。


「えっ、違うでしょ!?リンクが娶った何処かの国のお姫様でしょ!?」

「(えぇぇぇっ。それはねーわ)」

「…違う。リンクがスラム街から連れてきた、新しい奴隷だ」

「(Σそれもねーよっ!?ってか話が肥大しすぎだぁぁぁ!!)」

「三人とも、何を勘違いしてるの!リンクの愛人やら奴隷やら、そんなわけないでしょ!」


子供たちのいきすぎた間違った誤解を聞いて、イリアが柳眉を逆立てて注意した。
さ、流石イリア!これで子供たちの誤解も…


「舞は私の恋人よ」

深まるだけじゃねぇかあぁぁああぁあっ!!ちちち、違うよ君達!私はただのどこにでもいるような女で、リンクともイリアともそんな関係じゃないからねっ!」


だからっ、だからイリアがカミングアウトした瞬間引くようなリアクションは止めてくれーーっ!!(汗)
必死に両手を横に振りながら弁解すると、子供たちの顔は呆気をとられたように目を見開いた。


「え、違うの?」

「違う違う!リンクともイリアともただのお友達なんだよ!」

「なーんだ、つまんねぇの〜」

「ちっ」


コラそこ舌打ちするな。
自分達の知識が誤報だと分かると、さっきの男の子を筆頭に三人が私の周りを取り囲んだ。


「なあなあ!姉ちゃんの名前なんて言うんだ?」

「私?私は舞だよ」

「舞?」

「…変な名前」

きっついなまろ眉

誰がまろ眉だ。おれはマロだ」


名前合ってたーーーーっ!!
まろ眉、改めマロの名前に興奮していると負けじと男の子が手を挙げた。


「オレ、タロ!マロとは兄弟なんだぜっ」

「あたしはベスよ。よろしくね舞!」

「タロとベス、それにマロね。三人ともよろしく。まだまだ分からないことが多いから、その時は良かったら助けてね」


いいお姉さんを作るように笑顔でお願いすると、三者三様の笑顔が咲き乱れ、ほぼ同時にこくんと縦に頷かれた。
素直な反応に嬉しくて、益々頬の筋肉が緩んでしまった。


「ところで、一体誰かしらあんなガセネタ流しやがったの…。見つけたら即制裁下してやるのに

「(止めてください閻魔様)」




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