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3.
「お前、名前は?」
「……ユール、です」
「ふーん……
で?ユールは、これから何処に行こうとしてたんだ?」
「えっ……と、シンドリア王国」
「! へえ〜……
何なら俺が連れてってやるよ!」
「え……?いいの?」
「あぁ!」
突然親しげになった青年に若干の困惑を隠し切れないユールだったが、彼の親切を無駄にするわけにはいかないと思い、共にシンドリアまでついてきて貰う事にした。
「あの!」
そして少女は、前を行かんとする青年に話し掛ける。
青年は、少し控えめな彼女の声に振り返った。
「貴方の……名前は?」
その直後、ユールの目の前を、漆黒に染まったルフがバサバサと通り過ぎて行った。
全てのルフが消え去った頃、青年は少しニヒルな微笑みを浮かべて自身の名を告げる。
「俺の名前はジュダル。
シンドリアまで一先ず宜しくな、ユール!」
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それから、ジュダルとユールは、仲睦まじく旅を続けた。
ジュダルはしょっちゅう自慢話を繰り広げ、彼女は楽しそうに聞き入っていた。
当初はジュダルの黒いルフに不信感を抱いていたユールだが、今ではすっかりそんなものは消え去っていた。
彼女の目には、ジュダルはとても良い人に映ったからだ。
だが、彼女は彼の本性を、近い内に嫌でも知る事になる。
無論今の彼女に、それを知る由などなかった。